PISA調査の結果が学校現場に与えたインパクトは大きく、PISA型学力への小・中学校の教師の関心は急速に高まっています。特に読解力に関しては、「読解力向上プログラム」の影響もあり、研究会等における「読解力」の分科会の参加者は群を抜いて多く、読解力をテーマとした研修会には定員を上回る申し込みがありました。
しかし、PISAで評価されている力とは何か、その力を伸ばすためにはどんな指導をすればよいか、と問われると、答えられる教師は少ないのが現状です。なぜなら、PISAの調査は公開されているにもかかわらず、多くの教師がその問題をきちんと見ていないからです。私の実感では、実際に問題を解いてみたことのある教師は4割程度でしょう。関心の高さと認識の低さには大きなギャップがあり、「読解力向上プログラム」が浸透しにくい要因の一つとなっています。
ターニングポイントとなるのは、おそらく2007年に実施される国による全国学力調査でしょう。PISA型の問題が盛り込まれるため、小・中学校の教師は必然的にPISA型の学力に向き合い、対応を迫られることになります。ここから、PISA型の読解力を育成する指導が本格的に広がっていくと思います。
文部科学省も学校現場を支援する体制を整えています。「読解力向上プログラム」では、重点戦略として、学習指導要領の見直し、指導事例集の配布、研修会の開催等を挙げています。また、高校入試では、PISA型の出題が見られるようになってきました。中学校では、進学指導のためにも、PISA型学力の育成に力を入れざるをえません。
このような環境の変化を受け、今後、義務教育の指導が変化していくことが予測されます。
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