これらの取り組みは2年目に入り、効果が現れ始めている。弓北先生は「定期テストの記述式問題では、白紙の解答が減り、書く量も格段に増えた」と、生徒の変化を喜ぶ。05年4月と06年1月に行ったアンケートでは、「読書は好きか」「新聞を毎日読むか」で肯定的な回答が、全学年で上昇していた。しかし、「読書感想文は得意か」「依頼原稿はすぐ書けるか」などはほとんど変わらず、否定的な回答が増えた学年もあった。
「最初はこの結果に落胆しました。しかし、『書けるつもりだったけど、実際には書けないことがわかった』という生徒が多くいました。自分を客観視できるようになったという点で、成長の一つと判断しています」
山田先生は、読書意欲の向上も効果の一つに挙げる。
「朝読書をやめたことで本離れが進むのではないかと心配しましたが、図書館の本を借りて読む生徒は以前よりも増えているようです」
今後の課題は、総合読解の指導を授業に取り入れることだ。弓北先生は、「現在、各教科の授業に、いかに総合読解の要素を取り入れるかを研究している」と話す。
毎朝の学習効果を更に深めることも目標だ。現在、生徒同士の解答の回覧は行っているが、それをグループによるディベートや、クラス全体での意見交換会に発展させたいと、弓北先生は意欲的に話す。
「取り組みを深化させ、本来の意味でのコミュニケーション能力を伸ばしたい。総合読解の学習に、特効薬はありません。地道な取り組みの積み重ねで徐々に生徒を育てていきたいと思います」
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