指導変革の軌跡 広島県立大門高校「課題解決力育成」
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模試解説で課題解決力を涵養

 理数コースの成功は、次なる一歩を踏み出させた。05年より、同校は全校を挙げて学力向上への改革を打ち出した。意欲の高い生徒が入学するようになったものの、学校全体で見れば、学力はかつてのレベルには遠く、学習習慣が身についていない生徒も少なくなかった。そこで、同校では補習の充実を進める一方で、自主的な学習スタイルの確立を支援する方法を模索した。
 「私たちが目指すのは、生徒自らが課題を発見し、解決できる力を養うことです。単に進学実績の向上を狙うならば、補習を充実させればよいでしょう。しかし、与えられたものをこなすだけでは、課題解決力を身につけることはできません。面談や模試、定期テストなどさまざまな機会を利用し、生徒自身が弱点を見つけて解決できるよう指導していくのが、改革の主眼です」(柳浦先生)
 最たる取り組みは、全学年で全教科すべての模試で行う「模試解説」だ。各教科の担当教師が、模試当日までに模試の解答・解説を作成し、模試終了直後に配付。生徒に自己採点させ、苦手分野を認識し、優先的に学習する単元を理解させる。模試解説には、解答・解説のほか、設問に該当する教科書や参考書のページ、問題集の設問番号まで示し、模試終了後すぐに苦手単元に取り組むことができるようにした(図1)。
 「模試には授業とかけ離れた難問が出る、と思っている生徒が少なくありません。同じ単元でも、定期考査では解けるのに、模試になると解けなくなる生徒もいます。模試の問題と教科書や参考書との関連を明らかにし、授業で学んだことをきちんとやっていれば解けるということを理解させるのが狙いです」(柳浦先生)

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図1
設問ごとの点数を記入し、学習優先順位をつけていく。「模試解説」の作成担当は教科内の持ち回りで、1回分を作成するのに1~2日はかかるという。

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