指導変革の軌跡 兵庫県立姫路東高校「単位制高校」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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学習方法改善のためにスタディーサポートを活用

 生徒が自ら学習の課題を解決するためには、弱点の確認だけでなく、学習方法を振り返らせることも大切だ。同校では、教科ごとの学習方法や学習時間について生徒の自覚を促すために、年に2回、スタディーサポートのデータを活用して面談を行っている。着実に成績が伸びている生徒を選び、学習内容と総合順位、偏差値の相関を示したデータを作成。それを三者面談で生徒と保護者に示し、どのような学習をすれば成績が伸びるのかを具体的に理解させている(図2)。「国語ではどんな勉強をしていますか?この生徒は国語が苦手でしたが、宿題と予習にしっかり取り組んだことが良い結果につながっています……」などと具体的なデータを示しながら、教師がポイントを説明していくのだ。

図2

 「保護者に説明するのは、どのような学習が必要なのかをわかってもらうためです。本校の学習指導に対して『宿題が多い』『勉強をさせすぎる』と思う保護者は、少なくありません。逆に、子どもに具体的なアドバイスをしたくてもできない保護者もいます。同じ学校、学年にこれだけの実績を出している生徒がいるということを、具体的な学習方法と併せて説明し、理解してもらうことが大切です」(山本先生)
 一連の学力向上の取り組みにより、自宅学習時間は増加傾向にある。4年前は塾での学習を合わせても1日平均100分を切っていた普通コースの生徒も、今では塾の学習を除いて120分にまで増えている。
 今後の課題は、「効果検証とシステムの定着」と柳浦先生は述べる。
 「生徒の学習意欲は向上していますが、私たちが望むような学習態度を身につけているかどうかは、これから検証が必要です。また、指導体制は整いましたが、一連の取り組みが本当に定着するかは、今後の教師の団結力にかかっています。まず、学校全体で取り組みを持続することが大切だと考えています」


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