指導変革の軌跡 神奈川県・私立桐光学園 中学校 ・高校「学校改革」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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6年間の持ち上がりで教師の指導力が向上

 桐光学園にとって大きな転機となったのは、82年の中学校併設だ。この中高一貫の1期生が卒業するころから進学実績は徐々に上向き、数年で国公立大合格者数が2桁に上るようになったのである。
 躍進の要因は、長期的な指導が可能になったことだ。中学校の段階から、高校で必要な力を見越して学習方法を身につけさせたり、自学自習の習慣づけに取り組んだりできるようになった。下地を作った上で、大学入試対策に早めに取りかかれるのは、大きなメリットだ。
 桐光学園では、同じ教師たちによる学年団が6年間を一貫して指導している。1クラスを担任・副担任として教師2名が受け持ち、学年付きの教師1名と合わせて計19名の教師が、生徒の進級と共に6年間持ち上がっていくのだ。進路課長の峯幸男先生は、その効果を次のように指摘する。
 「教師は、6年間同じ生徒を受け持つことで、生徒一人ひとりの個性を把握できます。教科指導はもちろん、生徒の悩みやトラブルにも、個々の発達段階に応じて即座に対応できるようになります。ともすれば、生徒も教師も馴れ合いになりがちという側面もありますが、生徒との強い信頼関係を築けるのが大きな利点です」
 もっとも、このシステムが定着するまでにはさまざまな葛藤があった、と伊奈博校長は明かす。
 「当初は、進学実績を早く上げたいばかりに、入試に強い教師を高3に固定させようとしたこともありました。効率だけを考えれば、中1のプロ、高3のプロとなる教師を育てた方がよいでしょう。しかし、すべての教師がどの学年の生徒でもしっかり指導できるようになって初めて学校全体の潜在能力も上がります。6年間持ち上がりシステムを地道に繰り返してきたことが、今日の実績に結び付いたと思います」


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