指導変革の軌跡 長野県望月高校「授業改革」
長野県望月高校

長野県 望月高校

「豊かな人間性を養う」が目標。進学・福祉・ビジネス・体育の4コースを設け(体育コースは07年度に募集停止)将来の志望に応じた学習を進めるほか、少人数による習熟度別授業、地域との連携を図るオープン授業などにより生徒の「学び」を促す。

設立●1949(昭和24)

形態●全日制/普通科/共学

生徒数(1学年)●約60名

06年度進路実績●大東文化大、山梨学院大、長野大、愛知工科大など、4年制大に延べ14名が合格。長野県短大、信州短大、清泉女子短大など短大に延べ11名が合格。専門学校11名、就職17名。

住所●長野県佐久市望月276-1

TEL●0267-53-2100

WEB PAGE●http://www.nagano-c.ed.jp/mochi-hs/


髙橋忠志

▲長野県望月高校校長

髙橋忠志

Takahashi Tadashi

教職歴34年目。同校に赴任して1年目。「教師と生徒がきちんとコミュニケーションできるよう支えていきます」

皆戸康広

▲長野県望月高校教頭

皆戸康広

Kaito Yasuhiro

教職歴33年目。同校に赴任して2年目。「常に生徒の成長を考え、ほかの先生方との対話を密にしていきたい」

臼田一彦

▲長野県望月高校

臼田一彦

Usuda Kazuhiko

教職歴28年目。同校に赴任して2年目。1学年主任。「常に生徒の中に入って積極的に話すことを心がけています」

大田一昭

▲長野県望月高校

大田一昭

Ota Kazuaki

教職歴27年目。同校に赴任して5年目。教務主任。「チャレンジ精神と感謝の心を持った人になってほしい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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指導変革の軌跡77


長野県 望月高校

生徒と教師の信頼関係が学び合いの風土を育む

● 実践のポイント
コース制の導入、補習の充実など、授業・進路指導改革を始める
「望月教育プラットホーム」により地域との連携を深める
「学びの共同体」を導入し、グループ学習、授業研究会を積極的に展開

「大学進学できない」と地元中学校も敬遠

 2002年11月、望月高校の職員会は重苦しい雰囲気に包まれた。
 「ついにここまで落ちたか……」
 地元・望月中学校から同校への進学率は、例年30%を超えていたが、03年度高校入試でなんと20%を切ったのだ。地域の高校でありながら、地元の生徒が来ない。この現実に、教師は嘆息を漏らした。
 原因は明らかだった。平日の昼間にもかかわらず、生徒が学校の近隣を歩き回り、校舎の裏はタバコの吸い殻だらけ。教室にはペットボトルが散乱していた。教師がいくら注意しても、生徒たちは耳を傾けない。そんな状況が10年近くも続いていたのだ。
 だが、原因はそれだけではなかった。当時1学年主任だった大田一昭先生は、次のように振り返る。
 「望月高校に進学しても、大学には進学できない。進路指導に対するそうした評価が、中学生を本校から更に遠ざけていたのです。大学進学者は例年4、5名いましたが、教師の個別対応。学校全体で大学進学を支援する体制がなかったのです。授業や進路指導の在り方を、抜本的に見直す必要に迫られていました」
 望月高校は、03年度、まず授業の改善に着手した。わかる授業、規律ある授業を目指し、「授業についての確認事項」(図1)を作成するなど、教師全員が同じベクトルで指導する体制を整えた。同時にコース制の導入も決め、04年度より進学、福祉、ビジネス、体育の4コースを設置することにした。
 学習指導も抜本的に改めた。その一つは、補習の充実である。
 「それまでは、大学進学を希望する生徒も少なければ、生徒を大学に行かせたいと思う教師もほとんどいませんでした。成績下位層にしか対応していなかった補習を、大学進学を目指す生徒にも対応できるように変えました」(大田先生)
 進学校での経験を基に、学習合宿や全員での大学見学会など、1年次から進路意識を高める取り組みも始め、生徒と教師の進学熱も徐々に高まっていった。その結果、早くも04年度入試で、諏訪東京理科大4名を含む4年制大に20名、公立の長野県短大2名を含む短大に9名が合格し、これまでにない実績を上げたのだ。

図1

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