授業で習った基本的な内容はしっかり勉強するものの、新しい世界を開こうと、自ら積極的にかかわる意欲や応用力が乏しいのではないか……。教師が漠然と抱えていた生徒像を明確に把握しようと、青葉台中学校では、2004年から毎年2月に学力調査(注1)を全学年で実施している。
「学力調査では、教科学力だけでなく、家庭学習の様子や読書の時間なども調べています。学力という表に見える部分だけでなく、その背景にある生活環境や学習環境が見えてくれば、どんな手立てが必要なのか具体的にわかってくると考えたからです」(3学年主任・末武久人先生)
初めて実施した04年の結果は、教師たちが日頃から感じていたことを裏付けるものだった。教科の基礎学力は定着していたが、応用分野の学力到達度が低く、教科学力を支える「自ら学ぶ力」「学びを律する力」「問題解決力」のスコアが低いことが判明。全教科で生徒の約20%が授業内容を十分に理解していないという実態も浮かび上がった。
「校内テストでは把握しきれていなかった、各教科の領域や単元ごとの細かい課題も示されました。学力調査は、結果を真摯(しんし)に受け止めて、教科指導や生徒指導を見直すことに大きな意味があると思います。数値で示されることで、漠然としていた問題意識を明確な課題として教師全員で共有できるのも大きなメリットです」(末武先生)
青葉台中学校が、学力調査の結果を基に毎年作成するのが、「学校課題解決アクションプラン」(図1)だ。「総合学力調査の教科基礎学力の到達度75%以上」といった学力面や、「学びを律する力」「自ら学ぶ力」、授業の満足度などについても数値目標を設定。年度当初に、保護者や生徒に対して「宣言」している。
アクションプランの達成度は、年2回、学期ごとに検証している(同校は二学期制を採用)。取り組みの成果を検証する項目を細かく設定し、評価方法や基準を定めた「取組評価表」を作成。これに沿って作られたアンケートに、生徒と教師が学期末にインターネットを使って回答する。アンケート結果は目標値に達しているかどうかをチェックし、次学期に向けて細かな改善を加えていく。結果は、ホームページや学校便り等で保護者にも公開している。
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