真のリーダー育成を目指して チームを率いて全く新しい価値を創り出す
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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他者を認め、自分を認めるポジティブな発想を持つ

――プロジェクトリーダーを育成する上で、人材を送り出す学校側は、どんな教育をすればよいでしょうか。

 

 生徒にプロジェクト的な体験ができる活動をもっとさせてみてはどうでしょうか。修学旅行や文化祭、体育祭などは、生徒たちがゼロから物事にかかわり、自分たちでつくり上げていくというプロジェクトに通じる行事です。教師がレールを敷いてしまわずに、生徒に創意工夫する部分を多く与えてみるとよいと思います。「収拾がつかなくなるのではないか」という不安があるかもしれませんが、こうした経験は、行事のリーダーにとっても、メンバーにとっても大きな糧となるでしょう。
 私は「総合的な学習の時間」(以下、総合学習)などは、まさにプロジェクトそのものだと考えます。総合学習では、特定の目的を達成するために、クラスの枠組みを越えた臨時的な組織を結成することもあります。ある意味、納期もあれば予算も定められています。こうした活動でリーダーを務めることができれば、コミュニケーション能力や計画立案能力、プレゼンテーション能力などが磨かれていくはずです。

 

――生徒同士の取り組みの場合、企業のプロジェクトとは違い、専門家の集まりというわけにはいきません。

 

 私はリーダーに求められる一番根本となる資質は、「他者の多様性を認められる力」だと考えます。総合学習や文化祭などの行事は、多くの仲間の力を結集しないと達成できない取り組みです。例えば、メンバーに「ちゃらんぽらんだけど、発想がユニークな生徒」がいたとします。そのときリーダーは、「あいつはいい加減だから信用できない」と排除するわけにはいきません。「彼の発想のよさを、今回の取り組みに何とか生かしたい」と考えられるかどうかが、成功の鍵となるのです。そうでないと、メンバーの得意分野を生かしつつプロジェクトを遂行することができません。リーダーが多様性を受容し、メンバーが潜在能力を発揮できたときに、プロジェクトの成功が見えてくるのです。
 リーダーは、他者を認めると同時に、自分に対しても肯定的でなくてはなりません。リーダーは、決めるべきことをきちんと判断し、進むべき道を自信を持ってメンバーに示さなくてはなりません。つまり、「I am OK. You are OK.」の発想を身につけていることが重要なのです()。
 一元的な価値基準で自己や他者の可能性を判断するのではなく、多様な視点から自己や他者の長所を見つけ出していく姿勢を、是非、高校でのさまざまな活動の中で伸ばしてほしいと思います。

図

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