生徒の英語力を伸ばすためには、もちろん「分析的学習活動」も軽視はできない。しかし、「分析的学習活動」に偏りすぎると、コミュニケーション能力が伸び悩むだけでなく、「やればできる」という自信や達成感を生徒が獲得する上でも課題があると考えられる。つまり、「プロダクション活動」や「英語使用活動」では、生徒が英語を使って自ら発信する場面が多く設けられているため、「自分の考えを、みんなの前で表現できた」という達成感をその都度味わうことができる。しかし「分析的学習活動」では、教師の講義が中心となるため、生徒がそうした達成感を実感できる場面が限られてしまう。これが自己効力の実感度に大きな影響を及ぼすのではないだろうか。
図4は、生徒のGTEC学力到達度別の「自己効力実感度(※1)」と「授業満足度」を、SELHi校と一般校で比較したグラフだ。
まず「自己効力実感度」だが、G2~G4レベルで自己効力感を持つ生徒の割合は、SELHi校も一般校もほとんど変わらない。ところがG5、G6とレベルが上がると、SELHi校では自己効力感を持った生徒が着実に増えているのに対して、一般校ではほぼ横ばいである。
このことから、英語コミュニケーション能力が高いほど、自己効力実感度も高いと考えられる。ところが、一般校において学力の伸びに相応して自己効力実感度が高くならないのは、「分析的学習活動」が中心になっているために、生徒が授業や日頃の学習の中で「やればできる」という実感を獲得できる機会が少ないということが要因として考えられるのではないだろうか。一方、SELHi校の生徒は、「プロダクション活動」を通じて自己効力を実感する場面が数多く設けられている。こうした違いが、数値の差となって表れていると考えられる。
「授業満足度」においても、「授業に満足している」と答える生徒の割合は、G5、G6レベルではSELHi校が一般校を大きく引き離している。つまり「プロダクション活動」を重視した活動は、特に英語コミュニケーション能力の高い生徒の自己効力実感度や授業満足度を高めていく上で効果があると言えるだろう。
|