「プロダクション活動」では、プレゼンテーションやディベートなどによって、自分の考えを発信することが最終目標とされる。また、こうしたアウトプット活動が英語の力を向上させる上で重要な要素であることも見てきた。
ただし、図6の「学習/情報処理システムのモデル」でも分かるように、人はインプットなくしてアウトプットはできない。既に一定のレディネス(準備性)が備わっているG5、G6レベルの生徒であれば、いきなりアウトプット活動をさせても対応できるだろう。しかし、G3以下のレベルの生徒に対しては、インプット活動とアウトプット活動を同時並行で行うことが必要だと言える。
そこでポイントになると思われるのが、授業中の教師と生徒の間でのこまめな「発問と応答」のやり取りだ。例えば、生徒のレベルに合った英文を読ませ、その感想を最初は単語、やがて単文で、そして複文で答えさせる。一つの活動の中で「英文を読んで、文法や語法についての知識を習得する」というインプットと、「英文を読んだ感想や意見を、英語で表現する」というアウトプットを織り交ぜることで、短いスパンで生徒が達成感を抱くことができる。グループ学習やペア学習を通して、生徒同士で簡単な発問と応答をさせるのも効果的だろう。
こうした活動は、これまで「分析的学習活動」を中心に展開してきた高校でも、英文和訳や文法指導の合間に比較的簡単に取り入れられるものだ。ちょっとした工夫で、生徒の英語コミュニケーション能力を高めていくことは、十分に可能ではないだろうか。
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