SELHi指定校レポート 千葉県 私立渋谷教育学園幕張高校
渋谷教育学園幕張高校

渋谷教育学園幕張高校

学術教育機関やコンベンションセンターなどが建ち並ぶ千葉県幕張新都心に、1983年開校。86年には附属中学校も開校し、中高一貫教育を行う。教育目標の一つとして「国際人としての資質を養う」を掲げ、中国への修学旅行、海外研修、海外からの留学生受け入れなど、国際教育に力を入れている。

設立●1983年(昭和58年)

形態●全日制(普通科)/共学

生徒数(1学年)●約295名

05年度入試実績●国公立大には、東京大38名、京都大5名、一橋大13名、東京工大10名、千葉大22名など136名が合格。私立大には、早稲田大195名、慶應義塾大101名、上智大54名、明治大49名、立教大58名など延べ810名が合格。

住所●千葉県千葉市美浜区若葉1-3

電話●043(271)1221

URL●http://www.shibumaku.jp/

内田富男

▲渋谷教育学園幕張高校

内田富男

Uchida Tomio

教職歴21年目。SELHi委員長。「Fast, not slow and steady wins the race.」

後上雅士

▲渋谷教育学園幕張高校

後上雅士

Gokami masashi

教職歴12年目。渋谷教育学園幕張高校に赴任して6年目。進路担当。「自立心と協調性のある生徒を育てたい」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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SELHi指定校レポート case study 2
千葉県 私立渋谷教育学園幕張高校

多角的な取り組みで相乗的に
英語力を引き上げる

自分の考えを他者に伝える発信能力が弱かった

 渋谷教育学園幕張高校の英語指導と言えば、「他の高校とはちょっと違う」というイメージを持っている人も少なくないだろう。附属中学校からの中高一貫教育を行っており、入学時から音声重視の指導を展開。授業の進度は速く、中3の授業では高校レベルの教材も使われている。そのため、高校入学時点で既に英検2級を取得している生徒も珍しくないなど、英語教育のレベルはかなり高い。また、帰国生が中学校・高校を合わせて300名以上在籍しているのも特徴だ。渋谷教育学園幕張高校はSELHi校の中にあっても、ユニークなタイプの高校と言ってよいだろう。ただし、SELHi委員長の内田富男先生は次のように語る。
  「本校の取り組みを他校に紹介すると、よく『高い英語力を持つ渋谷幕張の生徒だからできることだ』と言われます。しかしSELHiでの実践については、他校でも参考にしていただける面がいくつもあると思います」
  渋谷教育学園幕張高校がSELHiに指定されたのは、2002年度から04年度までの3年間。対象は02年度に中3だった生徒たちだ。初年度の02年度は帰国生を対象に実施し、本格的な実施は一般生(帰国生ではない生徒たち)が高校に進学した03年度からとなった。
  渋谷教育学園幕張高校が一般生を対象とした取り組みで重視したのが、「英語による発信能力」の育成だ。その狙いを、SELHi担当である後上雅士先生は次のように話す。
  「これは本校の生徒の傾向というよりは、対象学年の生徒の傾向なのですが、受信能力に比べて発信能力が劣っているのが目立ちました。読む力や聞く力はあっても、それを書く力や話す力に結び付ける能力が弱い。そこで受信能力の養成を重視しつつも、発信能力を高める取り組みを授業の中で展開したいと考えたのです。発信能力の育成は、本校だけではなく他校でも抱えている課題なので、SELHiのテーマとしてもふさわしいと考えました」
  渋谷教育学園幕張高校ではSELHiの研究活動にあたって、「内容中心教授法」という指導手法を、授業の中に取り入れることにした。
  「内容中心教授法とは、テーマを中心にした学習法です。授業の中で最初から助動詞について教えるのではなく、例えば環境問題がテーマなら、英語を使いながら環境問題について学んでいくうちに、結果的に助動詞の使い方が身に付くことを目標とするものです。本校ではこの20年間、帰国生を対象に時事問題や文学をテーマにした内容中心教授法による特別プログラムを実施してきました。これを一般生にも導入できないかと考えたのです」(内田先生)
  内容中心教授法は、生徒の発信能力を高めていく上でも効果的だ。いくら英語力があったとしても、「相手にこれを伝えたい」という自分なりの意見や考えを持っていないと、他者に発信することはできない。生徒の発信能力を高めるためには、授業の中であるテーマについての知識を深め、自分の考えを養う機会を生徒に持たせることが、ポイントになるというわけだ。


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