SELHi指定校レポート 千葉県 私立渋谷教育学園幕張高校

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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ライティングを重視した発信活動を行う

 渋谷教育学園幕張高校では、内容中心教授法を取り入れた授業をどのように展開したのだろうか。
  授業は、原則として教科書に沿って行われた。教科書には、単元ごとに文化や政治、医療や環境などさまざまな題材が扱われているので、これと連動して、テーマ学習のテーマを設定した。
  「教科書に入る前のプレ・アクティビティでは、単元のテーマに関係するビデオ教材などを生徒に見せます。例えば、本校で使っている教科書には、第二次世界大戦中にユダヤ人難民を救ったことで知られる外交官の杉原千畝の話が載っています。この単元を学習するときには、まず杉原千畝について描いたドキュメンタリー作品を鑑賞させたあとに、生徒同士で意見交換をさせるわけです。これによって、テーマについての知識を与え、興味付けを行ったのです」(後上先生)
  もちろん題材によっては、適切な教材が見つからない場合もある。そんなときは教科書の英文そのものがプレ・アクティビティの教材になる。教科書に書かれた内容について、生徒同士でディスカッションを行い、自分の意見を培っていくわけだ。
  授業は、文法事項の確認等で日本語が使われる以外は、基本的には英問英答などの「英語を使って、英語を学ぶスタイル」で進められる。そして単元が一通り終わったあとに、いよいよ生徒たちが取り組むのが発信活動だ。
  「発信活動の中でも、今回最も重視したのがライティングです。その単元で学んだテーマについて、もう一度生徒にディスカッションをさせたあとに、英作文を書かせました。書き上げた作品は、みんなの前で口頭で発表したり、プリントにして他の生徒に配るといったことも行いました。生徒には、『自分の意見を他の生徒に向けて発信する』ということを、強く意識させながら取り組ませたのです」(後上先生)
  ただし、渋谷教育学園幕張高校の生徒の英語力がいくら高いといっても、いきなり完成度の高い英作文を書くのは難しい。そこで導入段階ではまず、論理的で相手に伝わりやすい文章を英文で書くためのパラグラフ・ライティングの考え方と方法を、生徒に習得させた(図1)。これにより英語力がやや劣る生徒でも、まとまりのある英文を書けるようになったという。

▼図1 クリックすると拡大します
図1

  また、特徴的なのは、ピア・フィードバックといって、生徒同士でパートナーを組ませて、書き上げた英作文の内容についてお互いに指摘する機会を設けたことだ。「このセンテンスは、前と後ろを入れ替えてみたらどうか」「この表現は不適切だと思う」といったやり取りを、生徒同士で行わせたのだ。
  このピア・フィードバックも、何の準備もなく、すぐに生徒に取り組ませるのは困難だ。そこで、どんな観点でパートナーの文章について指摘をすればよいのか、チェックポイントを記したプリントを配ってレクチャーを行い、生徒に指摘する方法を身に付けさせた(図2)。

図2

  内田先生によると、「授業の中にピア・フィードバックを取り入れたことで、活動が非常に濃密なものになった」と言う。生徒はパートナーを組んだ相手に迷惑がかからないように、必ず課題をこなさなくてはならない。またパートナーに自分の書いた英文が読まれるので、作文の手抜きもできなくなった。更に、パートナーが書いてきた英作文について指摘をするためには、文章を真剣に読まなくてはならない。「書く力」だけではなく、「読む力」も同時に身に付くという効果がある。
  「印象的だったのは、帰国生とパートナーを組んだ一般生の様子です。帰国生が相手でも、しっかりと指摘をするんですね。文法の間違いを直すわけではなく、『ここの意味が私には分かりにくい』といった指摘です。すると帰国生も『この文章は間違ってはいないけど、伝わりにくいんだな』という風に、一般生のアドバイスを素直に受けて、文章を読みやすいものに直します。ピア・フィードバックの活動は、英語力に差があるペアでも、お互いにとって刺激のあるものになったと思います」(内田先生)


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