SELHi指定校レポート 京都府 私立立命館宇治高校
立命館宇治高校

立命館宇治高校

1995年に宇治学園と法人合併して設立。03年には立命館宇治中学校が開校され、中高大一貫の教育システムを展開する。特に、外国語教育には力を入れており、その高度な運用能力に加え、豊かな発想力や問題解決力を兼ね備えたグローバルな人材の育成に取り組んでいる。

設立●1895年(明治28年)

形態●全日制(普通科)・定時制/共学

生徒数(1学年)●約430名

05年度入試実績●立命館大483名、立命館アジア太平洋大12名(いずれも学内推薦)。この他9名が他大学に進学

住所●京都府宇治市広野町八軒屋谷33-1

電話●0774(41)3000

URL●http://www.ritsumei.
ac.jp/ujc/

中野有美乃

▲立命館宇治高校

中原有美乃

Nakahara Yumino

教職歴14年目。外国語科(英語)主任。取り組みに対する効果の分析をはじめ、SELHi研究を統括する役割を担う。

岡本邦秀

▲立命館宇治高校

岡本邦秀

Okamoto Kunihide

教職歴19年目。SELコースの主任として、カリキュラム編成や教員の統括など、コースの舵取り役を担当する。

メアリー・L・ウォルタース

▲立命館宇治高校

メアリー・L・ウォルタース

Mary L. Walters

教職歴32年目。イマジネーションプログラムの統括役として、ネイティブの教員をまとめる一方で、自身も英語や社会系の科目の教鞭を執る。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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SELHi指定校レポート case study 3
京都府 私立立命館宇治高校

イマージョンプログラムをはじめ“内容重視”の授業を通し
実践的な英語力を養う

取り組みの柱となるイマージョン教育

 立命館宇治高校が取り組む英語教育の最大の特色は、ネイティブの教師が英語以外の科目を英語で教える「イマージョン・プログラム(IP)」の実践だ。これは各学年に一クラス設置されている「SEL(スーパー・イングリッシュ・ランゲージ)コース」を履修する生徒が対象で、約1年間の留学と組み合わせて高度な英語力の習得につなげている(図1)。このプログラムの狙いを、SELコースの主任を務める岡本邦秀先生はこう話す。
  「国際社会において本来の意味で実践的な英語の運用力を育てるために、という視点からプログラムを編成しました。日常会話を超えて、高度な思考を英語で表現するスキルを身に付けるには、イマージョン・プログラムは非常に有用です。これに留学を組み合わせることで、卒業時には海外の大学の授業が支障なく理解できるレベルに到達させたいと考えています」

図1 クリックすると拡大します
図1

  そもそも立命館宇治高校では、1995年度の開校以来、“国際化”“情報化”の二つのキーワードを軸に教育プログラムの研究を進めてきた。中でも英語教育の改革には熱心で、96年度には第二外国語(中国語・ドイツ語・フランス語)、99年度には少人数授業や習熟度によるクラス分けを導入し、00年度にはSELコースの前身となる「IP(イマージョンプログラム)コース」を設置した経緯がある。
  そうした取り組みの中で、02年度にSELHiの指定を受けたのは、研究を巡って一つの課題が浮上したためと岡本先生は振り返る。
  「TOEFL平均スコアの向上などの成果は着実に見られましたが、教師によって研究に対する考え方がまちまちで、方向性が統一されていませんでした。そこで、SELHi指定を機に研究の全体像を見直し、教師集団が一体となって取り組む環境を整えたいと考えたのです」
  そうした考えの下で03年度には、IPコースをSELコースへと改称し、従来は2年次だったイマージョン教育の開始時期を1年次へと早め、その科目数も充実させた。またその翌年度には、留学をせずに3年間、国語を除く大半の科目を英語で授業するプログラムも設置した。


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