授業の他に尾道東高校が積極的に行ったのが、JICA研修、海外語学研修、ディベート大会などの各種行事だった。机上の学習とは異なる体験によって生徒に充足感を与え、自ら学ぶ姿勢を育てたいという思いからである。
行事前には、授業で生徒に体験学習の内容に通じる課題を投げかけ、机上の学習との関連付けも行った。例えば、JICA研修や語学研修では、外国人と話せるようにその国の文化や生活などを調べ、国際理解の素地を培った。また、英語資格試験の挑戦の動機付けにも利用した。
更に、論理的な構成がなされた原稿を書き、人前で話し、他者の意見を聞くことが必要となるディベートは、4技能をトータルにレベルアップさせる方法として尾道東高校では重視した。一般的に、英語によるディベートは高度な語学力を要する取り組みと考えられがちだが、実は生徒のレベルに合わせて、自在にアレンジすることができると田辺先生は言う。
「実際、最初のディベートのテーマは『犬と猫のどちらが好きか』というシンプルなものでした。これなら、どの生徒にもそれなりの意見がありますから、無理なく入っていくことが可能です。このレベルから外部の方を招いての大会までステップアップしていったのですが、ディベート大会は生徒がやり遂げたという充実感を得て、英語に対する自信を深めるのに最適な取り組みだったと思います。原稿チェックや個別指導など、教師の手間はかかりましたが、それに見合った成果はありました」(田辺先生)
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