英語があふれる学校環境となり、生徒が「英語での会話」を特別視しなくなったのは尾道東高校の02年度SELHiの大きな成果の一つ。それに合わせ、生徒個々の英語力も確実に伸びていった。
「SELHi一期生は、1年次の4月と7月にGTECを受けましたが、この2.5か月の英語力の伸びは、3年間で最も目覚ましいものでした。更に12月のテストでも、平均約50点のスコアアップを実現しました。そして、その後は下位の生徒を中心に点数のアップが見られ、学校全体の底上げも実現しました」(田辺先生)
これだけの成果を得られた要因には、尾道東高校の教師の指導力向上の努力も見逃せない。英語による英語科教科会議の実施、研修会参加の推奨、コース担当外教師との情報共有など、教師一人ひとりの意識改革を図り、英語科教師の約8割が文部科学省の示す英語力指標をクリアした。
しかし、明確な結果を残した一方で、いくつかの課題も見いだされている。生徒は簡単な会話ならスムーズにこなせるようになったものの、少し突っ込んだ内容になると言葉に窮する。
「これらは、英語力の不足というよりも、むしろ生徒自身に『語るべきこと』がないからだと私たちは判断しました」(田辺先生)
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