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奈良県 私立帝塚山高等学校


■研究開発課題
英語と日本語を生きた『ことば』としてとらえ、両者を関連させながら、論理的思考能力に基づく理解力・表現力を育成する教育方法の開発
■主要指標
1) 各研究内容において、ポートフォーリオにより、学年開始時と学年末で比較し検証する。
2) 各研究内容において、自己評価、観察法を用いる。
3) 各研究内容において、定期考査で出題し、平均得点6割を目指す。
■補助指標
○ 英検、GTEC for STUDENTS(上位者550点以上)。
■研究内容
1.   融合型授業による理解力の育成(国語科との連携) (RW)

2. スキルの融合による表現力の育成(書く力の育成・話す力の育成) (WS)

3. 実践活動による言語運用力の深化(地域での実践―日本文化紹介プロジェクト) (RLWS)


2005年度以前 学校提供資料

■研究テーマ
「英語と日本語を生きた『ことば』としてとらえ、両者を関連させながら論理的思考力に基づく理解力・表現力を育成する教育方法の開発
■そのテーマを研究しようと考えた背景
本校の生徒には単なる挨拶程度の英語運用能力ではなく、「中身を伴った英語運用能力」を身につけてもらいたいと思っている。「中身を伴った英語運用能力」とは、相手の意見を正確に理解し、自分の考えを論理的に発信することである。しかしながら、この姿勢を持っている生徒は極めて少ない。論理的な文章展開を読み取ったり、意見を発することができる生徒は母語レベルにおいても年々減ってきている。これはむしろ英語の問題ではなく、国語力にも関わっている。そこで、我々教員は、生徒の論理的思考能力を育成するために、国語科との連携授業を組むことができれば有効ではないかと考えた。日本語も英語も「ことば」であるという前提に立つならば、指導目標の共通性はある。なお、国語科との連携授業が組めない英語の授業でも、母語である日本語で論理的思考能力を磨き、それを英語使用時に応用する授業展開が有効ではないかと考えた。
■当初期待していた成果
日本語・英語両方において、論理的思考能力に基づく理解力・表現力が育成される。英語も日本語も「ことば」として共通する部分があるという生徒の認識が高まる。英語科と国語科との教員の連携が図れる。
■対象クラス、生徒人数
高校1年総合コース4クラス(158名)、2年総合コース4クラス(154名)、3年総合コース5クラス(189名)
■指導教員、教員人数
日本人英語教諭5名、外国人英語教諭1名、国語科教諭3名
■その他
 
■指導計画
高校1年 英語I(必修)
高校2年 英語II(必修) discussion(選択)
高校3年 Reading(必修) debate/tourism/English composition/英字新聞(選択)

上記の必修科目において国語科との連携をはかった授業を行う。選択科目では、日本語で論理的思考能力を磨き、それを英語使用時に応用する授業展開を目指すようにしている。

添付資料1 SELHiプログラム年次計画
添付資料2 英語科と国語科の学年別指導方法
■一連の指導の流れ
国語科との連携

(1)読み方の指導

文章を読むという点では、英語科、国語科の両教科で共通するところがある。以下の1)~3)の点を留意したインターラクティブリーディングをそれぞれの教科の授業で実施する。

1) 文と文、段落と段落のつながりを意識し、文章全体を理解する指導を行う。
2) キーワード・キーセンテンス・言い換え表現・つなぎ言葉を意識し、確認しながら読ませる。
3) 内容を読み取るための発問方略を立てる。

(2)教材

英語・現代文のそれぞれの教科書の題材が主であるが、はじめは日本語と英語共通の教材(天声人語)を用いる。日本語も英語も筆者の主張がありその主張をサポートするための文があること、その文章展開を理解すること、また全体把握のための要約の仕方は同じようにできるのだということを、生徒に理解させる。ある程度この作業に慣れたころを見計らい、天声人語から離れ、普段から使用しているテキスト、さらには各大学の入試問題も用いる。

(3)授業の流れ

1) 現代文の授業

まず現代文の授業で天声人語の文章を読解し、文章のキーワード、キーセンテンスを見つけ、文章の要約(150語程度)を行う。キーワード、キーセンテンスの抜き出し方や、要約の仕方は、現代文の授業で一通り学習する。要約後、自分たちの書いた要約の点検をグループで行い、それからクラス全体に向かって発表する。教科書の題材も同じような流れで行う。

2) 英語の授業

天声人語の教材に関しては、現代文での授業の1週間後くらいに、英語で書かれた同じ題材の天声人語を読解し、上記1)と同様にキーワードなどの抜き出しをおこなう。英語の場合、文章全体の流れを把握するために、フローチャートあるいはテキストマッピングを用いる。文章を図式化することにより、文章全体の構図を認識するだけでなく、文と文、段落と段落のつながりの理解、文章が論理的に展開されていることの認識ができる。英語の授業では、基本的には日本語で要約を行うが、時には英語での要約も行わせる。その後まず要約の確認をクラス全体で行う。そして、テキストをできるだけ見ずに、自分でまとめたテキストマッピングやフローチャートを見ながら、本文の流れを日本語、英語の順番で説明させる。説明は、まずペアワークで行い、最終的にはクラスの前で発表させるという形を取る。教科書の題材でも同じような流れで行う。

添付資料3-1 フローチャートを使用した生徒のプリント例
添付資料3-2 フローチャートを使用した生徒のプリント例
添付資料4 生徒の要約作業プリント例
添付資料5 生徒のテキストマッピング例

■成果
  • 文章を読解した後、自分でマッピングしたり、フローチャートを描き文章の構造を視聴覚的に捉えることができる。
  • アンケートでは、キーワード・キーセンテンスの抜き出し、フローチャートの使用、要約は文章読解に役に立つという回答が高い数値で見られた(資料「アンケート結果」参照)。
  • 外部試験(ベネッセGTEC for Students)で当初主にリーディング面での伸びを期待していたが、どの技能に対しても伸びが見られた。全国の平均的な伸びと比較すると、倍以上の伸び幅となっている。(資料「外部試験からの示唆」参照)

    添付資料6 アンケート結果
    添付資料7 外部試験(ベネッセGTEC for Students)からの示唆

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