特集 受け身から主体的な学習に向けて
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【座談会を終えて】

長期的な視野から
将来、開花する力の涵(かん)養を

 お茶の水女子大教授・文教育学部長 耳塚 寛明

主体性の回復に挑む姿に教師の意識の高さを感じた

  学習基本調査からもわかる通り、中堅クラスの高校における学習量の落ち込みは深刻です。座談会からも、学びに向かいづらい生徒を前に奮闘する先生方のご苦労が伝わってきました。中でも印象に残ったのは、学習方法や学習習慣の定着のために、各校とも手厚い指導をされていることです。もちろん、それが生徒の主体性を損なう危険性もあるでしょう。しかし、今の生徒の実状を考えると、導入期指導や強制的な学習などの対策を取らなければ、更に深刻な状況になっていたかもしれません。
 生徒や保護者、地域の期待を背負う公立高校にとって、3年間で大学受験に必要な学力を身につけさせることは必須の課題です。しかも、中学校までの基本的な学習パターンは復習型であり、高校では予習の仕方から教えなければなりません。
 手厚い指導で最低限の学習時間を確保し、学力を維持しているご苦労は並大抵ではないと思います。その上で、生徒の受動的な態度に対して、先生方が強い問題意識を持ち、主体性を回復するすべを模索していました。そうした姿を垣間見られたことが、私にとって今回の座談会の最大の収穫です。大学ではリメディアル教育(注2)で教科の基礎を教えることはできても、基本的な学習方法を教えるノウハウはありません。高校の役割は今まで以上に重要かつ困難なものになっていると感じました。

注2:大学の講義についていけるだけの学力や知識を助ける教育


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