指導変革の軌跡 大阪府・私立啓光学園 中学 ・高校「進学実績向上」
大阪府・私立啓光学園中学・高校

大阪府・私立
啓光学園中学・高校

2006年に創立49周年を迎えた私立の中高一貫校。スペインの「聖クラレチアン宣教会」が母体のミッションスクール。「誠実・克己・献身」を校訓に、一人ひとりの個性と豊かな人間性の育成を目指す。ラグビー部は全国大会4連覇を誇る国内屈指の強豪。

設立●1957(昭和32)

形態●全日制/普通科/男子校

生徒数(1学年)●約200名

06年度進路実績●国公立大には名古屋工業大、電気通信大、大阪教育大、鳥取大、大阪府立大など30名が合格。私立大には慶應義塾大、早稲田大、同志社大、立命館大、関西大、関西学院大など延べ408名が合格。

住所●大阪府枚方市禁野本町1-13-21

TEL●072-848-0521

WEB PAGE●http://www.
keikogakuen.ed.jp/


森田崇弘

▲啓光学園中学・高校

森田崇弘

Morita Takahiro

教職歴、同校の赴任歴共に14年目。進路指導部長。「陰徳の精神を持った人材を育てていきたいと思います」

山田長正

▲啓光学園中学・高校

山田長正

Yamada Nagamasa

教職歴、同校の赴任歴共に17年目。1学年主任。「何事にも屈しない、強靱なハートを持つ生徒を育てたいですね」

笠松貴宏

▲啓光学園中学・高校

笠松貴宏

Kasamatsu Takahiro

教職歴6年目。同校に赴任して3年目。2学年主任。「人は未知数、その未知数は可能性、そして解は自分自身」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 5/13 前ページ  次ページ

指導変革の軌跡79


大阪府・私立 啓光学園中学・高校「進学実績向上」

面談と保護者との連携により、進学意識・実績の向上を図る

● 実践のポイント
卒業生のデータを効果的に使った面談で、生徒の進学意欲を高める
生徒が自ずと受験に対する自信や意識を深められるワークシートを導入
保護者と教師の二者面談や保護者集会で、保護者との信頼関係を醸成

不景気と少子化で入学者数が激減

 啓光学園中学・高校は、大阪府枚方市にある中高一貫のカトリック系ミッションスクールだ。同校が改革に着手したのは5年前。きっかけは生徒数の急減だ。1998年度には300名弱だった入学生が、00年度には200名近くまで落ち込み、01年度にはついに160名台になった。
 最大の原因は、学校としての特色を打ち出せていないことだった。全国大会常連のラグビー部をはじめ、部活動には定評があったが、進学実績の面で生徒と保護者にアピールする特色がなかった。1学年主任の山田長正先生は言う。
 「最初に本校が危機感を抱いたのは、二十年ほど前、近くに私立大の付属高校が開校したときでした。しかし、当時は第2次ベビーブーム世代が高校に進学し始めていた時期。しかもバブルの絶頂期ということもあり、生徒数が減ることはありませんでした。そのときに対策を立てなかったことが、近年の生徒数の急減につながったのだと思います」
 このままでは、生徒数は減少の一途を続けるだろう。進学実績向上に向けた改革は、こうして始まった。

面談の充実により進学意識の向上を図る

 同校は、01~02年度にかけて、新入生訓練合宿、全学年を対象とした夏・冬・春の進学講習、8限補習、学習合宿など、学力向上の施策を次々と始めた。03年度には全学年で8限授業を組み、週42時間の授業体制を整えた。
 学習量の増加と併せて、重視したのが進学意識の向上だ。
 「かつては、本校には自分に自信を持てない生徒が多く、大学進学に対する意識もそれほど高くありませんでした。また、大学といえば関関同立などの私立大をイメージする生徒がほとんどでした。そこで、面談を通して、国公立大に目を向けさせると共に、第1志望をあきらめないよう指導を徹底することから始めたのです」(山田先生)
 以前は面談の実施は教師個々に任されており、熱心な教師が行う程度だった。それを01年度からは各学期に1回の面談期間を設け、必ず全クラスで行うようにした。
 更に、生徒の意欲を高める上で、同校が重視しているのがデータの活用だ。02年度から2年次秋の面談や進路ガイダンスで、難関大に合格した卒業生の1年次からの成績推移を具体的に伝えている。進路指導部長の森田崇弘先生は、次のように述べる。
 「入学時の成績がそれほど良くなくても難関大に入学している卒業生の存在を伝えることで、生徒に『自分にもできる』という自信を持たせることができます。また、2年次の秋は、受験に向けて気持ちを切り替えなくてはならない時期です。そのためにも、面談で具体的なデータを提示することは有効だと考えています」


  PAGE 5/13 前ページ 次ページ