一連の改革の成果は、04年度入試の結果に早くも表れた。例年、10名に満たなかった国公立大合格者はこの年17名に達し、05年度には30名に、関関同立の合格者数は初めて80名を超えた(図3)。ただし、改革を振り返って反省すべき点も少なくない。
「改革以来、常に第1志望を重視する進路指導を行い、03年度以降は1年次に職業ガイダンスを行い、将来の職業を見据えて大学を選ぶよう指導してきました。その結果、進学意識が高くなった反面、『この大学・学部でなければ嫌だ』というように、生徒の志向が硬直化してしまう傾向が出てきました」(山田先生)
06年度の国公立大の進学実績が横ばいとなったのは、その傾向と無関係ではないと、山田先生は分析する。その反省から、06年度には生徒の視野を広げる進路指導を心がけている。
「サッカーを好きな生徒が、プロのサッカー選手を志望するのも選択肢の一つではあります。しかし、サッカーに携わる仕事という視点から広く見渡せば、スポーツ用品メーカーやプロモーターといった職業もあります。職業に関する視野を広げることで、学部・学科の選択の幅も広げてもらいたいと考えています」(森田先生)
04年度からは一つひとつの取り組みを検証して精選すると共に、内容も改善している。年度末には学年、校務分掌、教科ごとに反省点を洗い出し、次年度の目標を設定。効果検証し、次年度に生かすPDCAサイクルが機能し始めているのである。
進学校として脱皮しつつある同校だが、所期の目的である入学者数については、まだ一進一退の状態だ。
「ここ数年、180名前後の入学者を確保していますが、コンスタントに200名くらいの生徒を確保しなければならないと思っています。しかし、その危機感があるからこそ、ここ数年の成果につながったと思いますし、これからも改革に対する教師のモチベーションになり得ると思っています」(森田先生)
危機感をバネに改革を加速させつつある、同校の今後に注目したい。
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