指導変革の軌跡 栃木県立宇都宮白楊高校「進学実績向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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小論文指導などの課外学習を充実

 放課後の補習も充実させた。最も力を入れたのは、2年次12月からの小論文指導だ。専門学科は普通科に比べて主要5教科の授業時数が少ない。推薦入試に的を絞るためだった(図1)。

図1

 まず文章に慣れさせるために、新聞のコラムを書き写して要約させた。また、志望校の小論文の傾向を調べさせた。3年次からは、過去問を使った本格的な指導を行う。国語の教師が文章表現や用語の使い方を指導し、専門科目の教師が農業や工業など内容面のチェックをするなど、教師間の分担も明確にした。
 また、1年生は9月から、2、3年生は5月から、進学希望者を対象に放課後、国数英の補習を行った。
 「以前は、教師が会議に出席するために、補習が休みになることがたびたびありました。これでは生徒の学習意欲が低下してしまいます。補習担当の教師は、会議より補習を優先することにしています」(江連先生)
 ただし、会議によってはどうしても抜けられないこともある。その場合は、ほかの先生が代わりに監督を引き受けるか、ほかの曜日に振り替えるようにしている。小論文指導の場合では、教師がいない間、農業や環境問題など小論文のテーマにかかわるドキュメンタリー番組のビデオを見せ、ワークシートに内容の要点や感想を記入させている(図2)。

図2

 補習の充実に伴い、部活動を早朝7時から行えるようにした。部活動の活力を削ぐことなく、放課後補習を徹底させることが目的だが、地域の同校に対するイメージアップにもつながったという。進路指導主事の太田敏雄先生はこう説明する。
 「高卒者を採用する企業は、高校の様子をよく見ています。早朝から熱心に練習に励む生徒たちの姿を見た地元企業の方から、お褒めの言葉を頂くことが多くなりました。中には『是非サッカー部の生徒をお願いしたい』と、特定の部活動を指定する企業もあります。学校から滲み出てくる活力が、地域にも直接的、間接的に浸透していることを感じます」


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