中学校の現場から 生徒の人間関係

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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縦割りの委員会活動などで人間関係の幅を広げる

 実は、同校がSGEを取り入れたのは、校内が荒れてきたのがきっかけだった。その立て直し策として、委員会活動を大幅に改革した。
 「生徒の中から学校を改革していこうという意識が芽生えなければなりません。そこで、生徒会組織も思いきって変えました」(柴田先生)
 7つあった委員会を16に拡大し、生徒全員がいずれかの委員会に所属するようにした。中心となる「ピア・サポート委員会」は、級長からなる組織だ。生徒同士のトラブルが起きたとき、双方の話を聞き、解決をサポートする役割などを担う。これは、エクササイズで学んでいる話し方、聞き方を実践する取り組みでもある。校内の廊下や教室のあちこちに花が飾られているのは、草花で校内の美化を進める「ガーデニング委員会」の活発さを物語る。ほかにも、職業や進路への意識を高める「キャリア委員会」、アルミ缶のリサイクルなどを進める「福祉委員会」など、それぞれ熱心に活動を進めている。
 定期考査の最終日には、生徒自らが「お掃除し隊」を結成し、校内を清掃する活動が恒例となっている。自由参加だが、毎回約300人の生徒が1時間ほど掃除をする。
 地域との交流も盛んだ。7月の「校区クリーン大作戦」では、地域の人たちと協力し、地区単位の縦割りグループで神社や公園、病院などを清掃する。終了後には「触れ合いタイム」を設け、大人と生徒が一緒になってエクササイズをしたり、地域の昔話を聞いたりと、交流が繰り広げられる。2006年度は約350人もの地域住民が参加した。
 「町で子どもたちに会ったとき、挨拶をしてくれるようになるから、参加しがいがある」という地域の方からの声が聞かれるほど好評だ。1月に行われる「校区自主防災活動」にも、40~50人もの地域の住民が参加する。
 SGEのエクササイズによるクラスの人間関係づくりを軸に、委員会による学年を超えた取り組み、そして地域との交流を深めてきたことで、生徒同士、そして学校と地域との一体感が高まってきた。この効果は、生徒の学力向上にもつながっていると、柴田先生は話す。
 「エクササイズを通して、生徒たちは確実に変わります。ただし、1回だけでは急激に変わりません。続けていくうちに少しずつジワジワと効いてくるのです。これからも、定期的に続けていきたいと考えています。地域と交流する機会も、もっと増やしていきます」

*豊橋市立本郷中学校の取り組みの詳しい内容は、『VIEW21』中学版2006年9月号を参照。


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