専門学科が母体の同校では、育てたい生徒像が明確であり、中学校と高校が教育方針のベクトルを一つに合わせやすい。附属中学校教務主任の平林秀二先生も次のように話す。
「中高共通の目的である『大学卒業後に活躍できる人材』を育てるために、中学生の発達段階に合わせた指導とはどうあるべきかを考えながら、教育プログラムを組み立てています。高校では、中学校以上に覚えなくてはならない知識量が増えます。そのときに『知識を頭に詰め込む』のではなく、『知識を自分のものとして身につけられる』生徒を高校に送り出したい。その素地を育てるのが、中学校の役割だと考えます」
中学校では、最初のステップとして、家庭学習習慣の確立や授業への集中力の向上といった基本的な学習姿勢を、生徒に身につけさせることを重視する。次のステップとして、授業中に生徒同士で相互に答えを点検し合ったり、批評し合ったりというように、生徒の自学自習力を高める場面を意識的に導入している。
中3で行う上海への海外研修旅行では、生徒は事前に中国に関する新聞記事を読み、討論する。これにより、生徒は自分なりの問題意識を持って研修旅行に臨める。
「学びのない活動はする意味がありません」と、平林先生は強調する。同校ではほかにも、職場体験学習やボランティア活動など、あらゆる活動において、生徒が問題意識を持ち、活動の中で何かを学び取る仕掛けを随所に施しているという。
中学校時代に、自分で考え、答えを導き出す力を育てておくことで、より高度な、より多量の知識の吸収が求められる高校教育への接続をスムーズに図っていこうというわけだ。 |