私たちの研究室では、神経疾患の中でも難病といわれる病気の治療法を、主に2つのアプローチから研究しています。
1つは、病気の原因となった異常をきたした遺伝子を突き止め、進行や発症を防ぐという方法です。神経疾患は実にさまざまな原因で発病しますが、遺伝性のものと非遺伝性のものに大別できます。そこで、遺伝性疾患の患者に協力してもらい、その家系を調べて原因となる遺伝子を特定し、それに効く薬や治療法を開発するのです。神経変性疾患では非遺伝性の患者の方が多いのですが、症状はもちろん、発症機序も遺伝性のものと共通点があります。遺伝性の患者への治療法が、非遺伝性の患者にも効く可能性は高いと言えるのです。
原因となる遺伝子の特定については、研究がかなり進んでいます。私たちの研究室では、遺伝性脊髄小脳変性症(※7)の原因にかかわる遺伝子を突き止めました。今は動物モデルによる実験に入り、治療法の開発に向けて研究を進めています。また、アルツハイマー病(※8)の原因遺伝子は、有名なものだけで3つ判明していて、それらについての研究も進めています。 |