進路検討会によって、生徒にふさわしい志望校を提示しても、保護者の理解がなければ、より良い進路指導は望めない。そこで、同校は保護者にも積極的に働きかけることにした。年1回程度だった保護者進路説明会を、3年生は年2回とし、大学や入試の情報を提供する。
「センター試験5教科7科目を課す国公立大の増加や、新しい学部の増加など、この10年で大学を取り巻く環境は大きく変わりました。しかし、保護者は、自身の学生時代のイメージを引きずっていたり、大学の宣伝に影響されやすかったりする傾向にあります。知名度がそれほど高くない地方の大学でも、優れた研究をしている大学があることを理解してもらい、大学進学に対して視野を広く持ってもらいたいと考え、保護者にも積極的に働きかけています」(江口先生)
共働きの保護者に配慮し、保護者進路説明会は19~21時に行っている。以前は半数程度だった参加者は、今では8割に達しているという。
1、2年生の生徒向けの進路ガイダンスも充実させた。4月のガイダンスを皮切りに、2学期からは月1回開催し、全校生徒を前に学習の仕方や大学の情報などを伝え、安易な進路選択をしないよう呼びかける。
「今の生徒は、早めに進路を決定したいという意識が強いようです。難易度を下げてでも早く合格して安心したいという生徒に対して、『推薦入試に頼らず、一般入試で頑張ろう』という意欲を持たせることが、ガイダンスの最大の狙いです」
実際、同校では国公立大の推薦入試やAO入試、私立大の指定校制推薦入試の出願者は少ない。「国公立大の後期日程まで粘り強く頑張って、合格を勝ち取る力がある」と高木先生は語る。
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