指導変革の軌跡 愛知県立西春高校「進学実績向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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保護者進路説明会とガイダンスで進路意識を高める

 進路検討会によって、生徒にふさわしい志望校を提示しても、保護者の理解がなければ、より良い進路指導は望めない。そこで、同校は保護者にも積極的に働きかけることにした。年1回程度だった保護者進路説明会を、3年生は年2回とし、大学や入試の情報を提供する。
 「センター試験5教科7科目を課す国公立大の増加や、新しい学部の増加など、この10年で大学を取り巻く環境は大きく変わりました。しかし、保護者は、自身の学生時代のイメージを引きずっていたり、大学の宣伝に影響されやすかったりする傾向にあります。知名度がそれほど高くない地方の大学でも、優れた研究をしている大学があることを理解してもらい、大学進学に対して視野を広く持ってもらいたいと考え、保護者にも積極的に働きかけています」(江口先生)
 共働きの保護者に配慮し、保護者進路説明会は19~21時に行っている。以前は半数程度だった参加者は、今では8割に達しているという。
 1、2年生の生徒向けの進路ガイダンスも充実させた。4月のガイダンスを皮切りに、2学期からは月1回開催し、全校生徒を前に学習の仕方や大学の情報などを伝え、安易な進路選択をしないよう呼びかける。
 「今の生徒は、早めに進路を決定したいという意識が強いようです。難易度を下げてでも早く合格して安心したいという生徒に対して、『推薦入試に頼らず、一般入試で頑張ろう』という意欲を持たせることが、ガイダンスの最大の狙いです」
 実際、同校では国公立大の推薦入試やAO入試、私立大の指定校制推薦入試の出願者は少ない。「国公立大の後期日程まで粘り強く頑張って、合格を勝ち取る力がある」と高木先生は語る。

小論文指導で後期日程までやり抜く気持ちを高める

 生徒のやる気を高め、国公立大後期日程までその気持ちを持続させるために、99年からは、全校で小論文を指導する体制を整えた。
 「『後期日程まで粘り強く』と言っても、教師の指導が伴わなければ、生徒はついてきません。学年に関係なく、体育科や養護教諭らも含めて、教師全員が指導することで、生徒が後期日程まで安心して勉強できるようにしています」(上島先生)
 小論文指導が始まるのは、私立大入試が一段落する2月半ば。指導を希望する生徒はあらかじめ登録し、進路指導部が受験予定大の学部・学科の入試問題や難易度などを踏まえて、生徒を教科に割り振り、各教科で担当教師を決める。全校で60数名の教師全員が、それぞれ2~3名の生徒を指導する。志望校の過去問や、過去問に似たテーマの小論文を、何度も書かせては添削を繰り返すのである。
 例年、小論文指導には、国公立大志望者の約半数に当たる150名ほどの生徒が登録する。後期日程での募集定員は全募集定員の約25%という中、同校では国公立大合格者の30~40%が、後期日程で合格している。全校体制による指導が、生徒に最後まで頑張り抜く勇気を与えているのだろう。


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