指導変革の軌跡 神奈川県・私立 横浜隼人中学・高校「進学実績向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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早朝テストで基礎学力を育成する

  早朝テストも全学年で実施する。週3日、朝の15分間を使い、国数英のいずれかの教科を行う。30点満点でマークシート形式だ。出題内容は、漢字、英単語、古文や漢文の文法、不等式の演習など、基礎から応用までと幅広い。放課後補習と同じく生徒の任意参加だが、1、2年生のほぼ全員、3年生も8割以上が受ける。
 「8時にテストをしたあと、10時にはすべての生徒の順位を張り出します。頑張って結果を出せば認められるという意識を持たせることが狙いの一つです。毎回、友だちと競い合っている生徒もいます。また、保護者の中には『厳しすぎるのではないか』という声もありますが、早朝テストは、基礎学力の定着を図ると同時に、マークシート形式に慣れるという目的もあります。マークシート形式では、氏名のマークミスなどがあればゼロ点です。そうしたミスが命取りになりかねないことを、日頃から体験させたいのです」(奈良先生)
 早朝テストを始めてから、遅刻者が大幅に減ったという。早朝テストは、生徒の生活のリズムを整える役割も果たしているのだ。

意欲のある生徒を応援しやる気を引き出す

  同校では、学習指導に力を入れるだけではなく、生徒一人ひとりに目を配り、やる気を引き出していく。鈴木校長は、校長に就任以来、生徒の誕生日にはバースデーカードを手渡し、一人ひとりが大切な生徒であることを伝えている。
 「本校は第1志望に合格できずに入学する生徒が大半のためか、入学後も自信を持てない生徒が多いようです。あらゆる機会を利用して『先生はいつも自分を見てくれている』という安心感を与え、学校への求心力を生み出し、生徒のやる気を高めるよう心がけています」(黒川先生)
 部活動で賞を取った生徒には、全校生徒の前で改めて表彰し、学校全体で祝福する。また、英語検定や漢字検定、俳句コンクールなどに積極的に挑戦させ、自信をつけるきっかけをつくっている。
 奈良先生は「検定やコンクールは、学力が高くなくても頑張り次第で結果を出せます。検定合格やコンクール入賞は自信につながりますし、チャレンジ自体がやる気につながると考えています」と意欲的だ。永野多嘉子教頭も「やる気のある生徒には、とことん面倒を見るのが本校の良いところ」と胸を張る。
 「ある生徒が英語のスピーチコンテストに出場したいと言ってきたのですが、正直、発音が良くないので、結果を残せる見通しが持てませんでした。しかし、本人が頑張ると言うので、放課後に教師がつきっきりで徹底的に発音練習をしたのです。発音が良いから、英語ができるから挑戦させるのではなく、やりたいという気持ちを大切にしています。結局、生徒は賞を逃しましたが、こうした指導が目標に向けて頑張る気持ちを高めていくと思います」(永野教頭)


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