指導変革の軌跡 神奈川県・私立 横浜隼人中学・高校「進学実績向上」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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卒業生と日常的に交流し受験への意欲を高める

 教師の働きかけ以上に、生徒の意欲を高めているのが、卒業生の存在だ。同校は、年2回の教育実習を利用し、卒業生による高校生活や大学入試に関する講演会を行う。また、ほぼ毎日卒業生が来校し、職員室や部室を訪ねては、在校生に受験勉強の苦労話をしたりアドバイスをしたりする。こうした卒業生との日常的な交流は、生徒の大きな刺激となっている。
 「高い目標を実現した先輩と身近に接することは、生徒の『自分にもできる』という意欲につながります。普段は気さくな先輩が受験では大変な思いをしていたという意外な一面を知り、気持ちを引き締める生徒もいます。教師の言葉よりも、卒業生の語る体験談の方がはるかに生徒の心に響いているようです」(奈良先生)
 先輩の実績が後輩の自信につながり、高い目標に挑戦する気持ちを喚起する。そうした好循環が、同校の進学実績を年々押し上げている。特進クラスを設置した当時、わずか数名だった国公立大合格者は、06年度入試では22名に、10名程度だったMARCH合格者は90名近くに達した。部活動にも活気が出て、地区大会止まりだった部が県大会に進出するなど、上を目指して頑張っている。

図2

 今後の課題は、「教師の手を離し、生徒の自主性を引き出すこと」と鈴木校長は気を引き締める。
 「本校は、近隣の中学校や保護者には『面倒見の良い学校』という評価を受けています。しかし、難関大を目指すには、教師に従うだけでなく、自ら進んで学ぶ姿勢が必要です。生徒一人ひとりをきちんと受け止めながらも、一歩距離を置いて見守っていきたいと考えています」

図3

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