教師の働きかけ以上に、生徒の意欲を高めているのが、卒業生の存在だ。同校は、年2回の教育実習を利用し、卒業生による高校生活や大学入試に関する講演会を行う。また、ほぼ毎日卒業生が来校し、職員室や部室を訪ねては、在校生に受験勉強の苦労話をしたりアドバイスをしたりする。こうした卒業生との日常的な交流は、生徒の大きな刺激となっている。
「高い目標を実現した先輩と身近に接することは、生徒の『自分にもできる』という意欲につながります。普段は気さくな先輩が受験では大変な思いをしていたという意外な一面を知り、気持ちを引き締める生徒もいます。教師の言葉よりも、卒業生の語る体験談の方がはるかに生徒の心に響いているようです」(奈良先生)
先輩の実績が後輩の自信につながり、高い目標に挑戦する気持ちを喚起する。そうした好循環が、同校の進学実績を年々押し上げている。特進クラスを設置した当時、わずか数名だった国公立大合格者は、06年度入試では22名に、10名程度だったMARCH合格者は90名近くに達した。部活動にも活気が出て、地区大会止まりだった部が県大会に進出するなど、上を目指して頑張っている。 |