経営学は、机上でコツコツと研究する学問ではありません。企業の懐に飛び込んで経営陣を取材し、現場を見学して、企業活動のダイナミズムを肌で感じることが肝心です。「トヨタ」のケースでも、海外を含め、経営に携わる200名近くの社員に直接会い、話を聞いています。
自らの足で集めた情報を、既成概念を捨てて、客観的に、深く洞察すると、新しい発見を得られます。それを論文にまとめるのです。そのプロセスには、いわばジャーナリストとしての視点も不可欠といえるでしょう。更に、企業活動は実に幅広い領域に渡りますから、哲学や科学、宗教学、法学など、さまざまな学問の知識を生かして研究を進めます。この点も、経営学の特色として挙げられます。
どれだけ高度に見える研究でも、その出発点は「なぜだろう」という素朴な疑問です。そこから徐々に研究を積み上げるプロセスは、実にクリエイティブな営みです。日々、新しい企業活動が生み出され続けていることも、私の研究意欲を刺激しているのです。
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