指導変革の軌跡 山形県立酒田東高校「学校改革」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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保護者の理解と協力が改革をあと押しする

 教師・生徒が足並みをそろえるだけではなく、保護者の支持を得られたことも、改革の推進力となった。
 「新しい取り組みを次々と始めたことで、『ここまでしなくても』と思う保護者が少なからずいたようです。ただ、模試の成績が順調に伸び、服装や挨拶など生活面においても地域の評判が高まる中で、保護者に『学校に任せておけば何とかなる』という意識が生まれたことを感じました。その後の取り組みもスムーズに進められるようになりました」(石川先生)
 保護者と直接話す機会も積極的に増やした。1年次から学年ごとの懇談会を頻繁に行い、学年団全員ですべての保護者と接するよう努めた。2年次の12月には、保護者の出席しやすさも考えて、同校としては初めて、進路相談会を夜7時から実施した。志望校別に「超難関大・医学部」「難関大」「ブロック大」「地方国公立大」に分け、受験に必要な学習や試験の傾向、心構えなどについて説明した。猛吹雪の日もあったものの、2日間で延べ約160名の保護者が参加した。
 「学校への信頼感と共に、どんな情報も前向きに吸収していこうとする、保護者の意欲を感じました」と齋藤先生は振り返る。教師の熱意が保護者を巻き込み、保護者の意欲が更に教師のモチベーションに火をつける、そんな好循環が学年団と保護者の絆を深めていったのである。

生徒の主体性に期待しすぎて失敗も

 新しい試みの中には、うまくいかないものもあった。その一つが「学習と生活の記録」だ。学習時間を確保すると共に、生活のリズムを整えることを狙い、毎日の学習の記録を記入させた。3年生になってからは、1日の終わりに「記録」するのではなく、事前に「学習計画」を立てさせる方法に変更したのだが…。
 「1、2年生のときに毎日欠かさず学習時間と内容を記録させていたので、自分に何が不足していて、どのような学習をすればよいのか判断できるようになっているのではないかと期待したのです。しかし、結果は失敗でした」(石川先生)
 生徒の中には記入方法の変更に戸惑い、リズムを崩す生徒も出てきたため、3年生の途中から「記録」方式に戻した。
 石川先生は、「主体性を身につけさせるためには、やはり2年間ではまだ短すぎたということです。07年度からは、3年生の夏まで『記録』の形で続け、生徒の様子を見ながら徐々に主体性を尊重する形に移行しようと考えています」と述べる。失敗を糧として改善を重ねていくつもりだ。


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