「国立大には、熱意を持って自校の魅力を語ってほしい」
こう話すのは、埼玉県立越谷北高校進路指導主事の岸澤眞一先生だ。同校から地元の国立大に進学する生徒は例年学年の2~3割だ。しかし、高校入学当初から国立大に関心がないわけではない。2006年度卒業生の場合、国公立大志望者の割合は、1年生のときで77%、2年生でも73%だった。それが3年生になると57%に急減し、実際の受験率に至っては38%まで落ち込んだ。
「こうした傾向が見られるのは、この学年だけではありません。例年、学部・学科研究が進み、国公私を含めた大学間の比較が深まるにつれて、次第に国公立大の志望者は減り、その多くが東京の私立大に流れていくのです」と岸澤先生は話す。
理由の1つは、地元の国立大の学部構成にある。設置学部数が多くはないため、それ以外の学部系統を志望する生徒は、私立大にも目を向けるようになる。もう1つは、地理的な理由だ。同校のある越谷市は県南東部に位置し、東京まで電車で1時間ほど。東京の私立大にも十分通える距離にあるためだ。 |