国立大が法人化されて4年目を迎えた。大学間の競争は一層激しくなり、魅力が乏しければ淘汰される優勝劣敗の構造の中、危機感を強める地方の国立大。 「教育」「研究」に加えて、「地域貢献」という役割を果たすため、改革への動きを加速させている。その動きを追うと共に、地方国立大の魅力を生徒に伝えるポイントを紹介する。
変わる地方国立大の現状
課題
高校から見る課題
地方国立大の魅力が 高校に伝わってこない
大学を取り巻く環境
国立大学法人化以降、 競争原理の導入、 運営費交付金のカット、 中期目標・中期計画の策定が義務化
【関連記事はP.2「高校の現場から」、P.5「インタビュー&データ」】
取り組みの特徴
地域のニーズに応じた 特色づくりを進める
◎地域を支える人材を送り出してきた地方国立大。しかし、今後は大学側の論理ではなく、地域のニーズに応える形で「地域の人材育成の拠点」として の役割を果たしていく。
「教育」「研究」を強化し 「地域貢献」で魅力を高める
◎教育を充実させ、質の高い研究を進めていくと同時に、地域貢献の観点から、行政や産業界から の要請に応じた新たな取り組みを積極的に推進していく。
【関連記事はP.5「インタビュー&データ」、P.26「学長インタビュー」】
各大学の取り組み
地元で活躍する 技術者育成のため 入試に地元枠を設ける
山形大 【P.9「学校事例1」】
学部再編で学生主体の教育を 実践する
金沢大 【P.12「学校事例2」】
学校現場での 実習を増やし 実践力のある教員を養成
岐阜大 【P.15「学校事例3」】
学部の新設で 地域の観光振興を 支える
和歌山大 【P.18「学校事例4」】
博士課程までの 一貫教育で 研究者を育成
愛媛大 【P.21「学校事例5」】
地域医療に携わる 医師養成を目指し 2つの推薦入試を導入
佐賀大 【P.23「学校事例6」】
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生徒に地方国立大の魅力を伝えるポイント
1.地方国立大の良さを データで伝える
◎生徒や保護者に地方国立大の良さを伝える方法としては、データが最もわかりやすい。生徒が選択に迷っている大学間で数値を比較して伝えれば、その大学の優位性は明らかになる。また、卒業生の実体験は、生徒にとってリアルに感じられるだろう。
2.生徒が自ら判断 できる目を養う
◎いろいろな大学の情報を調べ比較することで、自分に合った大学を見極める判断力が身につく。本格的な志望校選びに入る前に、オープンキャンパスへの参加やウェブサイトの検索など、生徒が自ら調べ、情報を集められるような活動を取り入れたい。
3.最後まで5教科で 頑張らせる
◎言うまでもなく、国立大の入試科目は、5教科7科目以上がほとんどである。志望校選びの過程で可能性を広げておくためにも、生徒に5教科7科目の必要性を説明し、「最後まで5教科で頑張る」姿勢を身につけさせておきたい。
【関連記事はP.2「高校の現場から」、P.30「編集部より」】