特集 変わる地方国立大

山形大

◎人文、地域教育文化、理、医、工、農の6学部を擁する総合国立大。工学部は、1910(明治43)年に全国7番目の高等工業学校として創立した米沢高等工業学校が前身。新制大学発足に伴い49年に山形大工学部へと改組した。昼の授業を履修するAコースと、主に夜間の授業を履修するBコースを設置。

設立●1949(昭和24)年

設置学部・07年度入学定員●人文学部300名/地域教育文化学部240名/理学部185名/医学部160名/工学部690名/農学部155名

教員数●755名(07年5月現在)

進路状況(06年度)●卒業者数1,759名、進学者数500名、就職者数1,115名、その他144名

住所●米沢市城南4-3-16(工学部)

TEL●0238‐26‐3013(工学部入試担当)

WEB PAGE●http://www.yamagata-
u.ac.jp/index-j.html


山本陽史

▲山形大大学院理工学研究科教授

山本陽史

Yamamoto Harufumi

アドミッションサービス担当。2007年度より現職


VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
  PAGE 9/33 前ページ  次ページ

【事例1・技術者育成】

山形大

地元枠AO入試を新設
県内産業を担うエンジニアを育成する

経済がグローバル化する中で、地元産業界の競争力強化に貢献できるエンジニアを育てるにはどうすればよいのか。山形県の産業界、行政、山形大工学部の三者連携の下、入試から教育・研究、就職後までを見据えた継続的な人材育成システムが動き出す。

地元産業界のニーズを反映し地域で活躍する人材を育てる

 山形県内の高校卒業予定者を対象にしたAO入試――。国立大で全国初の試みを山形大工学部は2008年度入試からスタートさせる。募集人員は6名で、卒業後は県内での就職を希望することが出願条件の一つとなっている。
「県内の企業の発展のために、地元に残ってくれる人材を確保できないだろうか」
山形大は、数年前から県や県の産業界からそうした相談を受けていた。そもそも県出身の大学進学者のおよそ8割が県外へと進学しており、山形大の入学者に占める県内高校出身者の割合は全学で4割弱、工学部で3割ほどだ。更に、工学部卒業生の実に9割が県外の企業に就職している。山形県では、大学入学時も卒業後も、人材が県外に流れているという状況にあった。
「企業から卒業生への評価が高い工学部には、全国から学生が集まってきます。そうした意味で国立大としての役割は確実に果たしてきたといえますが、今や国立大といっても地元抜きには存在できません。地域の企業もグローバル化する経済への対応を迫られている中で、高い技術や知識を持った人材を育成し、地域産業を発展させるためにはどうすればよいか。人材の空洞化という危機を打ち破るためにも、地元枠のあるAO入試の実施を決断しました」(山本陽史教授)


  PAGE 9/33 前ページ  次ページ