特集 変わる地方国立大

金沢大

◎加賀藩の種痘所を源流とし、金沢医科大学、石川県師範学校、第四高等学校などを前身として発足。21世紀COEプログラム2件、現代GP、大学院GP、教員養成GPに採択されるなど教育・研究両面において高い評価を受ける。地域貢献にも力を入れており、「文化」「里山」を切り口とした地域活性化事業に取り組む。

設立●1949(昭和24)年

設置学部・07年度入学定員●文学部170名/教育学部195名/法学部180名/経済学部205名/理学部170名/医学部295名/薬学部75名/工学部419名

教員数●1,032名(07年5月現在)

進路状況(06年度)●卒業者数1,904名、進学者数592名、就職者数1,028名、その他284名

住所●金沢市角間町

TEL●076‐264‐5111(代)

WEB PAGE●http://www.kanazawa-u.
ac.jp


林勇二郎

▲金沢大学長

林勇二郎

Hayashi Yujiro

東京工業大理工学研究科博士課程修了。工学博士。金沢大工学部教授等を経て、1999年から現職

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【事例2・学部再編】

金沢大

学域・学類への改組により、
学生主体の教育を実現する

金沢大は、2008年度に、現在の学部・学科を学域・学類に全面改組する。学部間の壁を取り払うことで新領域を取り込み、柔軟な進路選択を可能にした。学生本位の学びの実現に向け、同大は新たな一歩を踏み出そうとしている。

学部間の壁を取り払い社会のニーズに対応

 「地域と世界に開かれた教育重視の研究大学」――金沢大は2004年度の法人化に際して、「金沢大学憲章」を制定し、冒頭のような目指す方向を明示した。林勇二郎学長は、「グローバル化が進む今、大学には『社会のために』という存在理由が改めて問われています。本学は、北陸、更に東アジアの学術の拠点としての責務を果たすために、地域に根差した活動を展開し、世界に向けて情報を発信していきたい」と話す。同大の教育重視の姿勢は、08年度に実施予定の学部の大幅改組に表れている。その内容は、現在の8学部25学科・課程を、3学域16学類に改組するというものだ(図1)。

図1:改組前と改組後の学部組織

 「従来の学部・学科は、法、経済、理、工など、学問分野に応じて細分化されてきました。しかし、社会が抱える複雑な問題を解決するためには、個々の学問の範囲を超えた幅広い知識と能力が求められています。学域・学類制は、教育組織に新しい学問領域を取り込むと同時に、学生に自由度の高い学びの場を提供する制度と言えるでしょう」(林学長)
 基礎科学の成果が直接に技術化される時代にあって、理学と工学の垣根はほとんどない。医療現場では医師、薬剤師、看護師らが協働であたるチーム医療が主流で、コメディカル教育が必須だ。国際社会や地域社会の複雑な問題の解決にも、経済、法律、文化に関する幅広い知識が求められる。これらに対応できる人材を育てるため、幅広い課題に対応できる柔軟な教育体制の構築を目指したのだ。


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