特集 変わる地方国立大
黒木登志夫

▲岐阜大学長

黒木登志夫

Kuroki Toshio

東北大医学部卒業。東北大助教授、東京大教授、日本癌学会会長等を経て、01年度から現職。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【学長インタビュー】

地方国立大は「教育」「研究」を強化し
「地域貢献」で魅力を高める

地方国立大には、どのような役割が求められていると受け止め、今後の展開をどのようにしていこうと考えているのか。全学を挙げて改革を推進中の2大学の学長に話を聞いた。

岐阜大学長◎黒木登志夫

質の高い「教育」「研究」の実績を
外部にわかりやすく発信する

地方国立大の研究実績は高い

 地方国立大は、地域の基幹となる高等教育機関として、地域に人材を送り出すという重要な役割を担っています。特に地域に根差した産業としては、教育、医療、工業の分野が挙げられます。本学は、岐阜薬科大と連携して「大学院連合創薬医療情報研究科」を創設したり、教育学部では学校現場での体験を重視した教育を行ったりする(P.15参照)など、中部地方を支えていく人材を育てていると自負しています。
 良い「教育」を行うためには、質の高い「研究」が必要です。地方にある大学だから最先端の研究はできないだろうと思われがちですが、地方国立大には実績と実力があります。例えば、国内の研究論文数は上位30校のうち13校が都・府・政令指定都市以外にある地方国立大で、私立大は4校です*1。また、中小企業との共同研究実績(2005年度)は、地方国立大の1688件に対し、私立大は31件です。地方国立大は実力、ポテンシャル共に高いのですが、社会にあまり知られていないのが残念です。

*1 出典はThomson Scientific社刊行「ISI National Citation Report for Japan1996-2005」における情報・システム研究機構国立情報学研究所・根岸正光の調査統計結果

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