教育の面でも、地域との結び付きを重視した改革に取り組む。1年次には地域の医療機関で医療現場を見学する実習を取り入れ、5年次以降は1、2週間地域の医療機関に通い、実際の診療に参加する。講義でも地域医療の重要性を伝えていこうと、地域医療に関する専任教員2名を配置した。地域医療分野の担当教員は他分野と兼任になりがちだが、専任とすることで情報収集と発信を学内外にきちんと行えるような体制を整えた。
これら取り組みは、地域医療科学教育研究センターが中心となって行う。このセンターは、大学の地域貢献活動の拠点として、03年度に全国で初めて設置された。地域の医療機関と連携しながら高レベルな教育を行う手法を模索する「地域包括医療教育部門」、高齢者や障害者が日常生活を営む上で障害となる行動を解明し、支援の方法を研究する「福祉健康科学部門」などからなる。
このように、腰を据えて地域医療に取り組んでいるところに、佐賀大の地域医療をよくしていきたいという意気込みが感じられる。
木本学部長は、「私たちが学生のころより今の学生の方が、地域医療に対する意識はずっと高いと思います。ただ、より先進的な研修先を求めて大都市を選ぶ気持ちもよくわかります」と学生の気持ちを推し量りながらも、「やはり、初期研修が終わったら地元に戻り、医師として地域医療に取り組んでほしい。そうした意識を持ち続けるよう、地域医療の価値ややりがいを在学中に伝えていかねばならない」という思いで改革に取り組んでいる。 |