特集 変わる地方国立大

佐賀大

◎旧佐賀大(文理学部、教育学部の2学部を擁する新制大学として1949年に発足)と、旧佐賀医科大(1976年開学)が、2003年10月に統合し、現在の5学部体制となる。同年、医学部には地域医療科学研究センターを設置し、地域の医療サービス、福祉、健康生活の充実に貢献するための教育研究を行う。

設立●2003(平成15)年(上記参照)

設置学部・07年度入学定員●文化教育学部240名/経済学部275名/医学部155名/理工学部490名/農学部145名

学部教員数●512名(07年5月現在)

進路状況(06年度)●卒業者数1,379名、進学者数308名、就職者数838名、その他233名

住所●佐賀市本庄町1

TEL●0952‐28‐8113(事務局)

WEB PAGE●http://www.saga-u.ac.jp/


木本雅夫

▲佐賀大医学部長

木本雅夫

Kimoto Masao

医学博士。大阪大医学部助手、佐賀医科大教授等を経て2005年から現職。専門は免疫学。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【事例6・医師養成】

佐賀大

地域医療を担う人材を幅広く育成するため
入試と教育を改革する

地方では医師不足が深刻な問題となっている。臨床研修制度の変更をきっかけに、研修医が東京などの都市部に集中し、地域に戻らない可能性が高くなるのだ。そうした現状を打破するため、全国でもいち早く改革に乗り出した佐賀大医学部。「地元の人材育成」に向けた取り組みについて紹介する。

新臨床研修制度で都市部に医師が流出

 佐賀大医学部は、地域医療を担う人材を確保するため、さまざまな改革に取り組んでいる。きっかけは、2004年4月に始まった新しい臨床研修制度だった。
 新制度の目的は、努力規定だった臨床研修を必修化し、研修に専念する環境を整えることにあったが、一方で研修先を研修医が自由に選べるということが明文化された。それまでは慣例として、多くの研修医が出身大の関連組織を研修先としていた。しかし、新制度の開始後は、東京などの都市部の医療機関を研修先に選ぶ研修医が増えたのだ。木本雅夫医学部長は、新制度が地域医療に与えた影響は大きいと説明する。
 「新制度の概要がわかった時点で、研修医が都市部に流れるという事態は予想していました。いったん地元を離れてしまえば、研修が終わっても地元に帰らずにそのまま都市部の病院などに就職してしまう可能性が高いのです。現状でも地方は医師不足に悩まされているのに、これでは地域医療が成り立たなくなってしまう。そうした危機感から、改革を進めることになったのです」


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