また、大学からの奨学金による4週間の海外語学研修や独自科目の「サイエンス英語」などで、研究者に必要な英語力も養成する。
「手厚い指導により、学生は『大学から大事にされている』と感じており、満足度もおおむね高い。しかし、課されるハードルが高く、授業についていくのはハードです」と、アドミッションセンターの井上敏憲准教授は話す。そのため、同コースでは「研究者になりたい」という受験生の意欲を重視しており、選抜方法はAO入試のみとなる。入試にも学科試験はなく、書類、講義を受けてのレポート、実験、面接で合格者を決める(08年度入試では、大学入試センター試験利用のAO枠を新設する。また、SSH指定校に限定した枠ではない)。
「あくまで意欲を重視して選抜し、入学後のきめ細かい指導で研究者としての資質を育てようというのが本コースの方針です。その狙い通り、入学者のモチベーションは非常に高く、本コースの学生の学習に対する積極的な姿勢が、結果的にほかの学部生にもよい影響を与えています」(井上准教授)
そうして高まった学部生の意欲に応えようと、1年次修了時に学部生がSS特別コースに移ることも可能とした(枠に余裕がある場合のみ)。06年度は2名が転属した。
「本コースは設置3年目で、卒業生が出るのはまだ先ですが、研究職への就職が厳しいという日本全体の状況は今後もあまり改善されないでしょう。研究者を目指す意欲を保持するためのキャリア教育の充実が、今後の課題です」(柳澤理事)
07年度には「宇宙進化研究センター」「東アジア古代鉄文化研究センター」を新たに設置。実績を持つ教員がいる分野ならば、理系分野のみならず文系分野の「夢のある研究」にも予算を投じる姿勢だ |