特集 変わる地方国立大

愛媛大

◎愛媛師範学校、松山高等学校、新居浜高等工業高校、愛媛県農業学校などを前身として発足した、四国地方では最も規模の大きい総合大学。県内出身者は約4割を占める。2006年度までに21世紀COEプログラム1件、特色GP2件、現代GP2件、教員養成GP1件が採択された。

設立●1949(昭和24)年

設置学部・07年度入学定員●法文学部505名/教育学部220名/理学部225名/医学部150名/工学部500名/農学部170名/スーパーサイエンス特別コース15名(理、工、農の入学定員に含まれる)

教員数●845名(07年5月現在)

進路状況(06年度)●卒業者数1,848名、進学者数449名、就職者数1,212名、その他187名

住所●松山市道後樋又10‐13

TEL●089‐927‐9000(代)

WEB PAGE●http://www.ehime-u.
ac.jp/


柳澤康信

▲愛媛大理事(教育担当)教育・学生支援機構長

柳澤康信

Yanagisawa Yasunobu

理学博士。愛媛大理学部教授、学部長などを経て現職。

井上敏憲

▲愛媛大アドミッションセンター准教授

井上敏憲

Inoue Toshinori

高校教員を経て、2004年から現職。

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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【事例5・研究者育成】

愛媛大

研究センターを核に
最先端研究の推進と若手研究者の育成を図る

愛媛大は、世界的な研究拠点を目指し、3つの研究センターを設立。21世紀COEプログラムに引き続き、グローバルCOEプログラムに採択されるなどの研究実績を上げている。博士課程までの一貫教育を行う「スーパーサイエンス特別コース」を設置するなど、後継者となる若手研究者の育成にも力を注いでいる。

21世紀COEに続きグローバルCOEにも採択

 愛媛大は、大学憲章の第7章に「世界レベルの研究拠点形成を目指す」を掲げ、「教育」「地域貢献」と共に「研究」に力を入れているのが大きな特徴だ。柳澤康信理事は、「優れた人材を育成するためには、そのバックボーンとして優れた研究が必要です。ただ、規模が限られている地方の大学ではすべての分野に資源を投じることはできません。本学では、独創性や先見性のある研究に資金や人材を投じています」と説明する。
 国際的な研究拠点となることを学内外に明確に打ち出す施策として、2004年の国立大の法人化を前に3つの研究センターを設立した。沿岸環境科学研究センターの「沿岸環境科学研究拠点」は02年度に21世紀COEプログラムに採択され、環境科学分野で世界トップレベルの研究業績を上げた。地球深部ダイナミクス研究センターでは世界一硬いダイヤモンドの合成に世界に先駆けて成功、また、無細胞生命科学工学研究センターは独自のタンパク質合成システムを武器として海外の研究機関と連携してマラリアのワクチンの開発に挑む。
 「『沿岸環境科学研究拠点』に集まったポスドク(博士研究員)や院生の多くが他大学や企業の研究所などに就職しました。研究業績だけでなく、若手研究者の育成に実績を上げたことが評価され、『化学物質の環境科学教育研究拠点』が07年度にグローバルCOEプログラムに採択されました」(柳澤理事)
 研究センターでは、チームで調査・研究することが多い。そのため、教員には若手研究者の育成自体が研究全体の評価につながるという認識がある。最先端の研究をしながら次世代を担う研究者を育成していく鍵はここにあるのだろう。


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