特集 変わる地方国立大
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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大学での授業改善こそが最大のPRになる

 こうした構造的な問題よりも深刻なのは「生徒が地元の国立大に魅力を感じにくいこと」と、岸澤先生は指摘する。
 「大学説明会でも、研究レベルの高さなどは十分わかるのですが、通り一遍の説明で、私立大ほどの熱意が感じられません。また、授業改善に対する教員の意識も、十分とはいえないように感じました。私は国立大でリメディアル教育の物理の授業を1コマ受け持ったことがあります。物理を学ばないまま理学部や工学部に入学してくる学生もいて、基礎物理学のような授業ですらついてこられない学生も少なくないようでした。大学教員がこのような実態を把握し、学生のニーズに合う教育をすることが、授業の質の向上につながる第一歩のはず。リメディアル教育も高校教師に依頼するのではなく、もう少し関心を持ってほしいと思いました」
 実際、岸澤先生は、東京の私立大から国立大に再入学した同校の卒業生から「私立大の方が授業が面白かった」という感想を聞いたという。
 「大学を選ぶ際、何よりも生徒の心を動かすのは『この大学に入学してよかった』という自分たちの先輩の言葉です。学生を満足させる授業が大学の魅力を高め、ひいては受験生の獲得につながるという気持ちで、大学改革に取り組んでほしいと思います」


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