特集 変わる地方国立大
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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観光学部の新設でオンリーワンを目指す

 同大に対し、地域が最も関心を注いでいるのは、08年度新設予定の観光学部だ。国は観光を今後の戦略産業の一つに位置づけている。和歌山県も04 年に「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録され、県を挙げて観光振興に取り組む。04年4月、同大が観光学部の構想を表明すると、県をはじめ地元経済界等挙げて歓迎の意を示し、署名運動やシンポジウムの開催などで、同大を全面的に支援する。ただ、同大にとって観光学部新設は、地域貢献だけでなく、生き残り戦略の一つとなる。
 「大学間競争が激しさを増す中、国立大は私立大並みに授業料を上げざるをえない状況になるかもしれません。厳しい環境の中で、どこの大学にでもあるような学部をつくっても、オンリーワンにはなれません。学生を引き付けるには、社会のニーズをくみ取り、本学ならではの特色を出す必要があるのです」(小田学長)
 国が国立大の再編統合を進めようとしている時期だけに、新学部増設は困難を極めた。専任教員は他学部からの振り替えと若干の純増で確保し、学生の定員も他学部を改組して新学部に充てた。校舎は増築せず、学部の拠点は和歌山市内の施設を借りる。地元の遊休施設の利用により経費を抑え、地域とのかかわりを深めるためだ。こうして08年4月に観光学部設置の見通しとなった。

図1:観光学部の構想図

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