指導変革の軌跡 和歌山県・私立開智中学校・高校
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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成績下位層の底上げが全体の学力向上につながる

 4月の宿泊研修後には、1回目の個人面談を行う。話題は学習面よりも友人関係や将来の目標など、生徒一人ひとりの把握に重点を置く。
 6月の定期考査後には、校長が1年生全員と面談をする。外進生には3年後の目標を、内進生には中学校3年間の反省と将来に向けた決意表明を書かせ、それを資料として校長自ら320名の生徒一人ひとりと向き合うのだ。
 「教育は子どもの姿をしっかりと捉えることから始めなければなりません。それは校長である私も同じです。生徒が考えていることや将来の夢などを把握し、気になる生徒がいれば、その生徒に対する指導方針について担任と話し合うこともあります。多角的に生徒を見つめることで、一人ひとりの夢や悩み、可能性を捉えることができるのです」(西下校長)
 初期指導の効果を高めるためには、そこで培った学習習慣やモチベーションを、3年間維持させることが大切だ。同校では学習と意識の両面から、絶えず生徒に刺激を与えることで、モチベーションを途切れさせないように心がけている。
 学習面で特に留意しているのが、成績下位層の底上げだ。授業についてこられない生徒、単位の取れない生徒に対して、模試や定期考査の前に集めて試験対策の補習を徹底する。
 「下位層の生徒を放っておくと、その生徒が落ちこぼれるだけでなく、学年全体のモチベーションも下がってしまいます。下位層をしっかり支えることが、学年全体の向上につながると考えています」(池田先生)
 成績上位層に対しては、希望者に勉強会を実施する。西下校長は、「ここに、開智高校の実績を支える原動力がある」と強調する。
 「学習で苦しんでいる生徒に補習で自信をつけさせる一方で、上位層の力を伸ばす指導も忘れない。学力層ごとにきめ細かく指導することで全体の学力を向上させる。そうしたスタイルが定着しつつあることが、本校の躍進を支えていると思います」
 大学教員による出張講義「開智オープンセミナー」も、モチベーションを維持する上で重要な取り組みだ。2年生の夏休み前に実施して「中だるみ」を防ぐと同時に、最先端の研究に触れることで知的好奇心を刺激し、進学意欲を喚起する。ここで醸成した進学意欲をそれ以降の学部・学科研究で広げ、学年末の志望校届けにつなげていくことで、スムーズに受験態勢に入ることができるのである。


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