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成功体験を積ませ夢の実現力へとつなげる
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同校は統合を機に、進路学習の強化を図っていった。留意した点は、進路学習を通して生徒の主体性を引き出していくことだ。前身の海津高校時代から進路指導主事を務める西脇誠先生は、その意図を次のように説明する。
「今の生徒は、何をするにしても周囲の大人がお膳立てをしてくれることが多く、自分で考えて一からつくり上げる経験が少ないようです。自分の進路を自分で決められない生徒が増えているのも、そうした環境が影響しているのでしょう。将来、仕事を通して自分の夢を実現する力を培うためにも、生徒主体の活動を多く取り入れる必要がありました」
そこで、同校はさまざまな進路学習の中で、生徒が主体的に活動する場面をできるだけ多く取り入れた。例えば、1年次の職業人講義では、講師として招いた地元企業担当者や大学教員の受付や接待、案内、お礼状の作成などを生徒が行う。2年次の企業見学会では、見学する企業の選択はもちろん、アポ取りから打ち合わせまでをすべて生徒主体で進めている。学年を追うごとに、取り組みのレベルを徐々に上げていくところがポイントだ。
生徒は自分たちで話し合いながら、アポ取りや場所確認など担当者を割り振る。電話やお礼状の内容について事前にシナリオをつくり、教師にアドバイスを求めることもある。教師は生徒の様子を見ながら、必要に応じて助言する。ただし、すべてを教えたりはせず、あくまで脇役に徹して、生徒が自ら考えて行動できるようあと押しする。
「資料をきちんとつくり手順通りに生徒に取り組ませるだけではマニュアル化されてしまい、かえって生徒のやる気や柔軟性を損ないます。生徒に試行錯誤させ、その経験から自主性は育まれていくと考えています。また、アポを取ったり講師を接待したりするだけでも、生徒にとっては『自分でこんなことができた』という自信になります。小さな成功体験を積ませながら、自分自身の力に気づかせ、将来の大きな目標を成就できる力につなげてほしいと思います」(西脇先生)
自分に合った進路を決めるためには、希望する職場を生徒自身の目で確かめさせることも大切だ。そこで、3年次の夏休みには、進路を決めかねている生徒に対して、希望する学問や職種が自分に合っているかを確認させるための体験学習を行う。法学部希望者が実際に裁判所に赴いて裁判を傍聴したり、医療系志願者が医療現場を見学したりと、希望する学部に関連する職場を訪れる。自分の目で自らの将来の姿を確認させることで、学部選びのミスマッチを防ぐことが目的だが、そのプロセス自体にも意味があると、西脇先生は強調する。
「自分の考えていることを実行するときには、常にそれを裏付けながら進めることが大切です。特に、進路選択は人生を決める重要なステップの一つ。これらの体験を通して、重要な決定をするときに必要なプロセスとはどのようなものか、進路探しの方法論を実感させています」
参加した生徒のほとんどは、実際に職場を訪問することで、より決意を固めるという。 |
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