特集 生徒を大人にする「生徒指導」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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人間関係の絆(きずな)から生徒の成長を促す

 生徒指導では、生徒との人間関係を重視している。例えば、毎朝の10分間のホームルームでは、連絡事項を伝えたあとは「語り込む教育」として、担任が生徒に語り聞かせる時間を確保している。話の内容は、日頃から考えていることや、その日の新聞記事の感想など、教師によってさまざまだ。
 「教師が自分を表現し、ときには本音を吐露することで、生徒は教師の人となりを理解します。そこから生徒との間にコミュニケーションが生まれるのです」(下京先生)
 登校時には、校門に生徒指導主任の下京先生、校舎の入り口に学年主任、教室に担任と、3名の教師が生徒を出迎える。生活指導上の目的もあるが、「おはよう」などと声をかけることで、朝から気持ちよく過ごしてもらいたいという思いがあるという。
 同校は、保護者や地域住民との連携にも熱心だ。1年次には生徒全員の家庭訪問を実施。同校は通学エリアが広いため、PTAは20地区に分かれて会合を実施しているが、そのすべてに教師は出向き、人間関係の醸成を図っている。そうした努力によって、「三星祭(体育祭・文化祭)」には大勢の保護者や地域住民が訪れるなど、良好な協力関係による教育が行われている。
 「受験への早期の切り替えがスムーズにいかないといった課題もあります。しかし、それは生徒が高校生活を楽しんでいるからともいえるでしょう。どっしりと構えているのが鹿屋高生の良いところなのです」(松高先生)とも捉えており、慎重な指導をしていく考えだ。
 生徒との絆を大切にして、前向きな姿勢を失わせないようにする指導が、生徒の伸びやかな学びを支えている。


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