指導変革の軌跡 福島県立安積黎明高校「導入期指導」
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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進路行事や定期考査でモチベーションを維持

 入学前後に体得した学習習慣やモチベーションを、2年次まで継続させることも、導入期指導の重要な役割である。同校の導入期指導が2年次の夏までを見据え、長期スパンで意識されているのもそのためだ。
 重要なポイントとなるのは、1年次の夏休み前後の指導だ。井戸川先生は、「1年次の11月ごろまでにどのような学習習慣が定着しているかが、導入期指導の最大のポイントです。その時期まで入学当初の学習習慣やモチベーションが持続できれば、その後も大きく崩れることはありません」と強調する。
 中でも、生徒の学習意欲や進路意識が希薄になる夏休みには、夏季課外や小論文講義など学習面のケアと併せて、モチベーションを持続させるための「大学・講座研究レポート」も課している。大学主催の講座に参加したり、大学のオープンキャンパスやインターネットで大学の特色や内容を調べたりしたものをB4用紙1枚にまとめさせ、8月末の進路ガイダンスで発表させる。「調べ学習によりモチベーションを喚起させることが目的ですが、ほかの生徒の発表を聞くことで、気持ちを引き締める効果も期待できる」と、佐藤先生は狙いを明かす。
 夏休み以後も、9月に社会人を招いての対話形式の進路講演会、10月にスタディーサポートの結果に基づく講演会など、随所に進路意識を喚起する取り組みを盛り込み、モチベーションの維持を図っている。
 一方、学習習慣を継続していくための工夫として、同校では定期考査や実力テスト、単元ごとの確認テストなどを時期に応じてバランスよく配置している。「生徒が学習しなければならない状況をつくり出すことが大切」と井戸川先生。同校は二学期制を実施しており、定期考査の間隔が間延びするという課題がある。そのため、定期考査の間に実力テストを配置、SHRでは2週間に1回、主要教科の確認テストを実施するなど、継続して学習できる状況を意図的につくり出している。
 また、実施時期を工夫するだけでなく、考査やテストの意図を教師全体が共通に認識していることも大切だ。進路指導部長の鈴木芳人先生は、導入期指導の導入以来、教科指導に対する教師の意識も変わりつつあることを指摘する。
 「課題の量は、今よりも女子校時代の方が多かったと思います。しかし、今は生徒の質も変わり、そうした指導についてこられる生徒ばかりではありません。指導の体系化を通じてそれぞれの取り組みの目的を明確にしたことで、教科内で話し合いながら課題や参考書の量を精選できるようになりました。生徒にも狙いをきちんと説明しながら取り組ませるという指導に変わっています」

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