指導変革の軌跡 福島県立安積黎明高校「導入期指導」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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前年度の反省を踏まえて次年度の指導計画を策定

 同校では、こうした指導体制を学校全体の取り組みとして継承するシステムを構築している。
 指導計画策定までの流れは、次の通りだ(図2)。毎年11月、次年度の1年次を担当する可能性の高い教師を中心に「導入期指導検討委員会」を設置。考査・テストの実施時期やサイクル、新しい取り組みについて検討し、次年度の計画を策定、2月ごろまでに報告書にまとめる。また、新年度が始まったあとも、夏休み前後の時期には模試やスタディーサポートの結果を見ながら中間総括を行い、年度後半に向けて計画を軌道修正する。

図2

 更に07年度からは、現1年生の担任2名がアドバイザーとして委員会に参加し、今年度の反省を踏まえた上で計画を策定していく体制にした。井戸川先生は、「取り組みを継続していくためには、PDCAサイクルを意識しながら、今年度の反省を次年度に生かしていくことが大切です。現1年担任の経験を生かし、知見を借りながら、C(チェック)A(アクション)の部分を充実させることで、取り組みがよりブラッシュアップしていくと考えます」と、意義を述べる。
 入学前指導における「学習プログレス」の活用、夏休み期間中の「大学・講座研究レポート」は、前年度の反省を踏まえて07年度から新たに始めた取り組みだ。PDCAサイクルを意識しながら、毎年、指導計画を改善して、より充実した指導体制を構築しているのである。
 導入期指導を開始して3年目。改革1期生は3年生になった。進学実績に結び付くかどうかは、08年度入試の結果を待たなければならないが、生活面では大きな改善が見られた。「学習プログレス」の導入で生活習慣が整い、遅刻・欠席数が大きく減少した。生活指導の徹底により、挨拶や身だしなみもきちんと整ってきた。
 しかし、それ以上の成果は、生徒と教師の信頼関係が今まで以上に強くなったことだ。「きめ細かな指導を通じて生徒と教師の距離が近くなったことを感じます。そうした信頼関係が、生徒の中に我々の指導を素直に受け入れる素地をつくっていると思います」と、鈴木先生は述べる。
 厳しい環境変化を背景に、骨太の指導体制を築き上げた安積黎明高校。今後、どのように飛躍していくのか、その取り組みがますます注目される。


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