指導変革の軌跡 埼玉県・私立浦和学院高校
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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事前事後の検討会と過去問活用で模試を充実

 面談の強化と併せて、難関大を目指すⅠ類では、朝自習や放課後補習、週末の学習合宿、長期休暇中の合宿および登校講座など、新しい取り組みを次々と始めた。
 模試は進研模試に統一し、運営方法も抜本的に改めた。模試の1か月前にはクラス担任と教科担任で検討会を行い、どの偏差値帯を何名にするのか、そのためにどのような指導を行うのかを確認する。生徒は3年分の過去問に取り組み、自己採点で自分の強み、弱みを把握。その上で模試を受け、結果の返却後には解説を見ながら間違えた部分をすべて解き直す。教師たちは再度検討会を開き、どの程度目標を達成できたのかをデータで確認。目標を達成した教科担任には成功事例を発表してもらう一方、目標に届かなかった教科については、授業や補習でどのようにフォローしていくか、次回の模試へ向けた具体策を考える。
 検討会では前回の模試結果や志望校など、必要最低限の情報だけをデータベースから抽出して検討材料にしている。
 「情報量はなるべく絞るのが本校のスタンスです。豊富なデータがあると多く並べたくなりますが、資料が多すぎると消化しきれません。資料は極力絞って考えをまとめやすくし、会議で意見が活発に出るようにしています」(石原先生)
 更に、Ⅰ類では進研模試の偏差値45を最低ラインとして、これを下回った生徒については、集会を開いて指導プランを伝え、特別補習のほか個別面談を実施し、学習方法や予習・復習の仕方の見直しを図る。これによって、生徒の間に「偏差値45ではダメなんだ」という意識が浸透、45以下の生徒は劇的に減ったという。
 最も大きな変化は、会議で教師が活発に発言するようになったことだ。Ⅰ類を統括する落合敏郎先生は、その理由を次のように分析する。
 「以前は特定の教師が話すことが多かったのですが、最近では、どの先生も積極的に自分の意見を述べるようになり、議論が活性化しています。偏差値45以下は出せないという責任感、模試前後2回の検討会を実施することによる当事者意識、そして何よりも実績が出ていることに対するやりがいや満足感が、教師の意識を前向きにしているのだと思います」

進路室の利用率向上


 浦和学院高校では、生徒に進路室の利用を促すことで、進路意識を高めている。2年次の最後の二者面談は進路室で行い、進路室は受験情報の宝庫であることを生徒に気づかせている。
 進路室には、大学案内や赤本、受験情報誌など豊富な資料がそろう。中でも生徒の利用率が高いのが、「受験校診断表」だ。生徒用にパソコン7台を設置しており、自分の成績を入力するだけで、受験可能な大学・学部・学科が検索できる。模試の偏差値から合格圏内にある大学・学部を検索したり、大学・学部名からセンター目標点を調べたりすることもできる。過年度の卒業生の受験結果も、評定平均値や出欠状況、模試成績と共にデータ化されている。進路室に生徒が気軽に入れるよう、入り口から教師の顔が直接見えないようにするなど、室内のレイアウトも工夫。これらの施策により、進路室の利用率は劇的に向上し、多いときは1日200名以上が利用するという。


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