新たな学校像を提示し運営を軌道に乗せた同校は、04年に進路指導の強化に乗り出した。同校の進路指導は、進学者・就職者数の増加そのものが目的ではない。進路部長の多名賀基文先生は、次のように述べる。
「私はかねてから、多くの教師が進路指導を単なる出口指導と考えていることに疑問を感じてきました。本当に大切な進路指導は、生徒が社会に出て独り立ちできる力を身につけさせることではないでしょうか。本校には『感恩先苦』という校訓があります。親や先祖など自分を取り巻く人々の恩をしっかり受け止めて、一度きりの人生を幸せに生きるために、自ら進んで苦労せよという意味が込められています。総合学科になって経営的に安定した今こそ、創立当初の精神に立ち返り、真に生徒の立場に立った進路指導の在り方を模索すべきだと考えました」
まず取り組んだのは、3年間の進路指導の体系化だ。1年次では「産業社会と人間」を中心に、卒業生や専門家の講話を取り入れながら、自分の進路について考える。2年次ではその成果を踏まえて企業・学校見学などを通して視野を広げ、自分の将来を模索する。いずれも「自立・自律」「共生」「価値観」を柱として、生きる力を養うことに主眼を置く。 |