特集 高め合う担任の進路指導力
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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新しく赴任してきた教師が研鑽を積む「ケーススタディ」

 「どんな教材を使って勉強しているのか?」
 「実習形式か講義形式か、どんな塾に通っているのか?」
 「模試の記述問題で点を取れなかったのは、書かずに空欄だったからか、それとも書いたのに得点できなかったのか?」
 群馬県立高崎女子高校3学年の全担任が7月と10月に集まって開かれる「進路検討会」。そこで行われる「ケーススタディ」では、各担任が2人ずつ持ち寄った生徒の事例を中心にして、矢継ぎ早に質問が飛ぶ。同校が初めての進学校赴任だった梅澤英明先生は、「慣れない状態でケーススタディに参加し、質問が細かくて厳しいのに驚きました。生徒との面談の際に何を聞き、何を理解しなければならないのかを痛感したのです。そうやって進路指導の力が鍛えられてきたと思います」と振り返る。
 進路指導主事の森田賢一先生が解説する。
 「ケーススタディは、校長、副校長、教頭の指導の下、担任団全員で情報を共有しながら勉強し、面談へと生かしていく取り組みです。初めて進学校に赴任した教師には不明な点もあるでしょう。本校で初めて3年の担任を持つ教師が、具体的な進路指導の方法を学ぶ場でもあります」
 例えば、医学部医学科を志望する生徒がいるとする。その生徒が現役で合格する見込みがあるのか、浪人した場合、成績は大幅に向上するのかなどは、進学指導経験の浅い担任には判断が難しい。ほかにも、「○○大工学部にはどんな併願パターンがあるのか? 志望大によりどんな勉強方法が効果的なのか?」など、経験のある教師がさまざまな角度から実践的にアドバイスしていく。
 「力があるのに、目線が下を向いている生徒、逆に実力以上の大学を目指している生徒にどう対応すべきか、かなり参考になりました。担任1人で苦しんだだけでは、『まだできることがあったのではないか……』と悔いが残るかもしれません。しかし、学年の教師全員で検討すれば、やるべきことはやった、という充足感があります」(細川隆一先生)


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