同校の進路指導の根底に流れているのは、「セカンドオピニオン」の考えだ。進路指導部と学年団の風通しが良いだけではなく、生徒には担任以外の教師の面談を受けることも促している。
「私が本校で担任を持って感じたのは、いろいろな先生が遠慮なく意見を言ってくれること」と話す細川先生は、次のような経験をしている。
3年生のある生徒は国公立大文系を目指していたが、合格は難しい状況だった。担任である細川先生は10月ごろに私立大への志望変更を促す考えだったが、進路指導室に頻繁に出入りしていたその生徒は9月、自主的に進路指導主事の面談を受けた。そこで「私立大に絞ったほうがいい」というアドバイスを受けて、生徒自身が私立大への志望変更を決断したという。
「変更するなら早い方がいいですから、とても助かりました。こういうケースが本校には結構あると思います」(細川先生)
梅澤先生が続ける。
「担任とは別の観点を生徒に与えて自分で考えさせる機会をつくるという意味でも、担任以外の教師が意図的に揺さぶりをかけるのは効果があると思います」
逆に、もっと上を目指せる生徒の意欲を引き出すために、担任が生徒にセカンドオピニオン面談を勧めることもある。そうした生徒に対し、担任以外の教師が将来の目標などを聞きながら、志望大より難易度の高い大学の引用論文数や卒業生の進路といった情報を伝えるほか、入試の配点など生徒個人の特性を絡めて、高い目標へと誘うよう具体的なアドバイスを送る。
「あくまでも担任が主で、フォローアップに徹するのが私の役割です。ですから、生徒と面談したあとには、必ず担任にその内容を報告しています。今、進路指導室では曜日ごとに担当の教師を配置する相談体制をつくり、もっと生徒が気軽に相談できるようにしていこうと考えています」(森田先生) |