特集 高め合う担任の進路指導力
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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緻密なデータ分析で精度の高い検討会を実現

 広島県立呉三津田高校は、03年度から県内五つの進学指導拠点校の一つとして、進路指導体制の確立に力を入れてきた。
 同校の進路指導体制において、最も重要な位置を占めているのが「進路検討会」だ。1・2年次はそれぞれ年4回、3年次は5回実施される。1年次から2年次1学期までは、学習状況や部活動の状況など生徒の日々の様子を見ながら、教科の理解度や学習習慣の定着などに注視する。
 生徒の志望実現に向けての本格的な検討会が始まるのは、2年次2学期からだ。第1志望届けをベースに、成績や学習状況、適性などを踏まえて徐々に志望校を絞り込んでいくことになる。
 検討会の精度を高める上で、重要な役割を果たしているのが緻密なデータ分析だ。進路検討会に先立ち、スタディーサポートをベースとした「学習検討会」を実施し、生徒一人ひとりの学習時間や学習意欲などを詳細に把握する。その後、時を置かずに検討会を実施し、スタディーサポートのデータのほか、進研模試や定期考査の成績などを加味して生徒の学習状況や志望校について検討する(図1)。

図1
一人ひとりの生徒への学習指導・進路指導を計画的で組織的なものとするため、詳細な生徒把握のための資料が作成され、検討会で活用される。

 「例えば、ある生徒の成績が下がった場合、なぜそういう結果になったのか、原因を明らかにすることが大切です。学習時間が減っているのであれば、『将来の目標が明確になっていない』『今やるべきことを先送りしている』『学習方法がわからない』など、更に深く堀り下げて原因を突き止めるのです。成績だけではなく、学習状況や学習意識のデータなどを使って生徒を多面的に把握することで、より精度の高い進路指導が可能になるのです」(進路指導部長・山西豊先生)。
 さまざまなデータを駆使し、いかに生徒を把握できるかが、担任の腕の見せ所というわけだ。


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