特集 高め合う担任の進路指導力
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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データによる裏付けで生徒のやる気を高める

  複数の教師による多角的な視点を生生かした議論が、新任教師の指導力向上に資することは想像に難くない。南場叔子先生は、その成果を自身の実感として次のように説明する。
 「成績など現在の結果だけを基に判断するのではなく、そこに至るまでの成績の推移や学習状況まで幅広く見ながら志望校について考えなくてはならないということが、検討会での議論を通してよくわかりました。本校の場合、九州大を狙える生徒であっても、広島大でA判定が出れば安心してしまうなど、自分の実力よりも目標を低く設定する生徒が見られます。私1人の判断だけで面談などに向かうと、つい生徒の志望を尊重してしまいがちですが、ベテランの先生方から、あらかじめデータを基にしたアドバイスを受けておくことで、生徒の可能性を発見し、それをより一層広げるような指導に取り組めるようになりました」
 実際、南場先生は検討会で得た知見を基に、広島大を志望していた生徒に対して、「きみの将来の目標をかなえるためには、更にふさわしい選択肢がある」と、より学力レベルの高い大学を勧めたことがある。その生徒は新たな目標を前にして俄然やる気を出し、それまで以上に猛烈に勉強に打ち込み始めた。それを見た保護者は、子どもの頑張りに感動し、南場先生にお礼の手紙を送ってきたという。
 「いくら真剣に考えた結果であったとしても、生徒の情報収集が稚拙であれば、偏った情報で進路を決めることになります。より高い目標を示すことで、自分自身の可能性に気づかせることも大切だということを実感できました」(南場先生)


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